行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成24年22問

地方自治法

○:4.四つ


問22 地方自治法およびその内容に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア、地方自治法の廃止は、日本国憲法の定めるところにより、住民投票を経て行わなければならない。
イ、地方自治法は、その目的として、「地方公共団体の健全な発達を保障すること」をあげている。
ウ、地方自治法は、「地方自治の本旨」の内容につき、それが「住民自治」と「団体自治」とを意味すると規定している。
エ、地方自治法には、地方財政法や地方公務員法等に優先して適用されるとの規定があり、地方自治の基本法としての位置づけが明確にされている。
オ、現行の地方自治法は、第二次世界大戦前の(旧)地方自治法を抜本的に改正して制定されたものである。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.一つ

☓:2.二つ

☓:3.三つ

○:4.四つ

☓:5.五つ

解説

ア.誤り。
地方自治について憲法92条では「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」としているだけなので、地方自治法は、通常の立法手続きで廃止することができる。
もっとも、法律事項である以上、完全に廃止することはできないので、廃止する場合は別の法律を制定して、地方公共団体の組織及び運営に関する事項を定めることが必要となる。
なお、本肢に関連するものとして、地方自治特別法の制定は住民投票が要件となっているが(憲法第95条)、廃止する場合は、住民投票は不要と解されている。
地方自治特別法とは?
憲法第95条の「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」によって制定された法律のこと。
なお、「一の」というのは、「特定の」という意味である。
例えば、旧軍港市転換法(軍事利用されていた港を持つ市を平和産業港湾都市に転換させる法律)は、4つの市(横須賀市、佐世保、舞鶴市、呉市)に適用される地方自治特別法である。
イ.正しい。
地方自治法は、地方自治の本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする(地方自治法第1条)。
したがって、 地方自治法はその目的に「地方公共団体の健全な発達を保障すること」をあげている。
ウ.誤り。
地方自治法では、「地方自治の本旨」というフレーズが3か所で使われており(地方自治法第1条、2条11項、12項)、また、憲法第92条でも使われている。
しかし、その意味は、地方自治法にも、憲法にも定められておらず、一般的な理解として「住民自治」と「団体自治」の意味があるとされているものである。
住民自治実際住んでいるその地域の住民が、その地域の行政を自分たちの意思にしたがって自主的に行うこと。例えば、大阪府で考えた場合、大阪府のことは、大阪府民が決定し、治めるということである。
団体自治国から独立した団体を設け、この団体の機関により地方自治が処理されるということ。例えば、大阪府で考えた場合、大阪府は中央(国)の出先機関ではなく、独立した団体として、大阪府内の地域内を治めるということである。
エ.誤り。
地方自治法は、憲法第92条に基づき憲法の附属法典というべき地方自治制度に関する基本法典として、憲法と同日に施行された法律である(昭和22年5月3日)。
その意味で、地方自治の基本法としての役割はある。
しかし、地方財政法や地方公務員法等に優先して適用されるとの規定は設けられていない。
オ.誤り。
明治憲法には、地方自治についての規定はなかったので、地方自治法もなかった。
従前の東京都制、道府県制、市制などの規定を統合する形で制定されてはいるが、あくまでも憲法を制定する際に、新法として制定されたものである。


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