行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成24年42問

行政法


問42 次の文章は、学校行事において教職員に国歌の起立斉唱等を義務付けることの是非が争われた最高裁判所判決の一節(一部を省略)である。空欄[ア]~[エ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~ 20)から選びなさい。

本件[ア:通達]は、……学習指導要領を踏まえ、上級行政機関である都教委*が関係下級行政機関である都立学校の各校長を名宛人としてその職務権限の行使を指揮するために発出したものであって、個々の教職員を名宛人とするものではなく、本件[イ:職務命令]の発出を待たずに当該[ア:通達]自体によって個々の教職員に具体的な義務を課すものではない。また、本件[ア:通達]には、……各校長に対し、本件[イ:職務命令]の発出の必要性を基礎付ける事項を示すとともに、教職員がこれに従わない場合は服務上の責任を問われることの周知を命ずる旨の文言があり、これらは国歌斉唱の際の起立斉唱又はピアノ伴奏の実施が必要に応じて[イ:職務命令]により確保されるべきことを前提とする趣旨と解されるものの、本件[イ:職務命令]の発出を命ずる旨及びその範囲等を示す文言は含まれておらず、具体的にどの範囲の教職員に対し本件[イ:職務命令]を発するか等については個々の式典及び教職員ごとの個別的な事情に応じて各校長の[ウ:裁量]に委ねられているものと解される。そして、本件[ア:通達]では、上記のとおり、本件[イ:職務命令]の違反について教職員の責任を問う方法も、[エ:懲戒処分]に限定されておらず、訓告や注意等も含み得る表現が採られており、具体的にどのような問責の方法を採るかは個々の教職員ごとの個別的な事情に応じて都教委の[ウ:裁量]によることが前提とされているものと解される。原審の指摘する都教委の校長連絡会等を通じての各校長への指導の内容等を勘案しても、本件[ア:通達]それ自体の文言や性質等に則したこれらの[ウ:裁量]の存在が否定されるものとは解されない。したがって、本件[ア:通達]をもって、本件[イ:職務命令]と不可分一体のものとしてこれと同視することはできず、本件[イ:職務命令]を受ける教職員に条件付きで[エ:懲戒処分]を受けるという法的効果を生じさせるものとみることもできない。

1、分限処分 ,2、処分基準 ,3、行政罰 ,4、同意 ,5、行政指導 ,6、指示 ,7、法規命令 ,8、職務命令 ,9、指導指針 ,10、下命 ,11、懲戒処分 ,12、監督処分 ,13、政治的判断 ,14、執行命令 ,15、告示 ,16、審査基準 ,17、裁量 ,18、勧告 ,19、通達 ,20、行政規則

解説

国旗へ向かって起立、国歌斉唱、国歌のピアノ伴奏に関する判例は多くあるが、その典型は、国歌斉唱等の校長命令に従わなかった教員が、停職処分になってその処分の取消訴訟を起こすというものである。
本問を解くに当たって必要な知識は、この停職処分に至るにはどのような過程をたどっているのか、ということである。
その大まかな流れは以下のとおりである。
① 通達(教育委員会が各校長に対し、教員に国歌の起立斉唱の遵守をさせるよう命令する)
② 校長の職務命令(校長が教員に対して、国歌の起立斉唱を遵守するよう命令する)
③ 教員が命令違反
④ 1回目の懲戒処分として戒告(判例によって「懲戒権者の裁量の範囲」とされている)
⑤ 2回目以降の懲戒処分として減給又は停職(判例によって「慎重な考慮が必要」とされている)
本判例の事案は、学校行事において教職員に国歌の起立斉唱等の義務を遵守しなかった場合に課される懲戒処分の差止め請求及び当該義務の不存在確認を求めた(実質的当事者訴訟)裁判である。
結論は、原告敗訴であるが、判例抜粋部分は、その前提として当該通達に処分性があるかを示したものである。
というのは、差止め請求の訴訟要件(適法な訴えになるための要件、満たさないと却下判決)には、補充性(他の手段がない場合に認められる)があるため、仮に当該通達に処分性がある場合は、当該通達の取消訴訟を提起して執行停止の申立てをすべき、となり差止め請求は認められないことになる。
そのため、前提として当該通達の処分性の判断が必要となったものである。
そして、この点の結論は、従来通り、当該通達に処分性はないとしている。


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