行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成24年44問

行政法


問44 Xは、A県 B市内に土地を所有していたが、B市による市道の拡張工事のために、当該土地の買収の打診を受けた。Xは、土地を手放すこと自体には異議がなかったものの、B市から提示された買収価格に不満があったため、買収に応じなかった。ところが、B市の申請を受けたA県収用委員会は、当該土地について土地収用法48条に基づく収用裁決(権利取得裁決)をした。しかし、Xは、この裁決において決定された損失補償の額についても、低額にすぎるとして、不服である。より高額な補償を求めるためには、Xは、だれを被告として、どのような訴訟を提起すべきか。また、このような訴訟を行政法学において何と呼ぶか。40字程度で記述しなさい。

解答例

B市を被告として、補償の増額を求める訴訟を提起すべきであり、形式的当事者訴訟と呼ぶ。(42字)

解説

形式的当事者訴訟の定義は、行政事件訴訟法第4条前段で「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とする訴訟」とされている。
その典型例が、土地収用に伴う損失補償金の増額請求訴訟である。
本問の事案では、本来であれば、Xは、A県収用委員会の裁決の内容に不服があるのだから、XはA県を被告としてA県収用委員会の裁決に対し、権利取得裁決の取消訴訟と増額の義務付訴訟を併合提起するべきである。
しかし、土地収用法133条3項は、「前項の規定による訴え(損失の補償に関する訴え)は、これを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を、土地所有者又は関係人であるときは起業者を、それぞれ被告としなければならない。」と定めている。
つまり、前述の定義に出てきた「法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの」である。
そのため、Xは、B市を被告として補償の増額を求める訴訟を提起することになる。
先に述べたように、本当の意味では抗告訴訟であるが、立法政策によって形式的には当事者同士で争う訴訟になっているので「形式的当事者訴訟」と呼ばれている。
したがって、解答は「B市を被告として、補償の増額を求める訴訟を提起すべきであり、形式的当事者訴訟と呼ぶ。」となる。


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