解答 行政書士試験 平成24年46問
民法
問46 次の文章は遺言に関する相談者と回答者の会話である。〔 〕の中に、どのような請求によって、何について遺言を失効させるかを40字程度で記述しなさい。
相談者 「今日は遺言の相談に参りました。私は夫に先立たれて独りで生活しています。亡くなった夫との間には息子が一人おりますが、随分前に家を出て一切交流もありません。私には、少々の預金と夫が遺してくれた土地建物がありますが、少しでも世の中のお役に立てるよう、私が死んだらこれらの財産一切を慈善団体Aに寄付したいと思っております。このような遺言をすることはできますか。」
回答者 「もちろん、そのような遺言をすることはできます。ただ「財産一切を慈善団体Aに寄付する」という内容が、必ずしもそのとおりになるとは限りません。というのも、相続人である息子さんは、〔 〕からです。そのようにできるのは、被相続人の財産処分の自由を保障しつつも、相続人の生活の安定及び財産の公平分配をはかるためです。」
解答例
遺留分減殺請求により、被相続人の財産の2分の1の限度で、遺言を失効させることができる(42字)解説
兄弟姉妹以外の相続人は、次の割合の遺留分を有している(1028条)。
相続人が直系尊属のみ被相続人の財産の1/3
相続人が直系尊属のみでない被相続人の財産の1/2
また、遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び一定の贈与の減殺を請求することができる(民法第1031条)。
この権利は、遺留分減殺請求権と呼ばれる。
遺留分の侵害を受けている者が、遺留分減殺請求権を行使すると、贈与・遺贈はその限度で効力は失われる。
したがって、「遺留分減殺請求により、被相続人の財産の2分の1の限度で、遺言を失効させることができる」となる。
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