行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成24年48問

一般知識

○:4.航空機売り込みをめぐる収賄容疑で、現職の首相である田中角栄が逮捕されたロッキード事件が起きた。そのため、与党の自由民主党内で「田中おろし」がなされ、田中内閣が総辞職して福田赳夫内閣が成立した。


問48

近現代の日本の汚職・政治腐敗などの疑獄事件に関する次の記述のうち、明らかに誤っているものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.外国製の軍艦や兵器の輸入をめぐる海軍高官の汚職事件であるジーメンス事件が発覚すると、都市民衆の抗議運動が高まり、山本権兵衛内閣は退陣することとなった。

☓:2.日本社会党・民主党・国民協同党の三党が連立した片山哲内閣の枠組を引き継いだ芦田均内閣は、広く政界からGHQまで巻き込んだ疑獄事件である昭和電工事件により、退陣した。

☓:3.造船疑獄事件で、吉田茂内閣への批判が強まるなか、鳩山一郎ら自由党反吉田派は離党して鳩山を総裁とする日本民主党を結成した。同年末に吉田内閣は退陣し、鳩山内閣が成立した。

○:4.航空機売り込みをめぐる収賄容疑で、現職の首相である田中角栄が逮捕されたロッキード事件が起きた。そのため、与党の自由民主党内で「田中おろし」がなされ、田中内閣が総辞職して福田赳夫内閣が成立した。

☓:5.消費税導入を実現した竹下登内閣は、おりからのリクルート事件の疑惑のなかで退陣した。これを受け継いだ宇野宗佑内閣も、参議院選挙での与党大敗を受けて退陣することとなった。

解説

1.正しい。
大正3年1月に外国製の軍艦や兵器の輸入をめぐる海軍高官の疑獄事件であるジーメンス事件が発覚し、都市民衆の抗議運動が高まり、また、司直の取調べが進むとこの疑獄事件はいっそうの広がりを見せた。
結局、貴族院と衆議院の対立が鮮明化し、予算案が不成立となって、同年3月に山本権兵衛内閣は退陣することとなった。
2.正しい。
昭和電工事件は、昭和23年4月に発覚した疑獄事件で、昭和電工の社長が復興金融金庫からの融資を得るために、政府高官や政府金融機関幹部に対して贈収賄を行った事件である。
GHQの下で日本の民主化を進めていた政府高官の名前なども挙がり、GHQも巻き込んでいった。
結局、同年10月に芦田均内閣は総辞職した。
3.正しい。
第二次世界大戦後の日本における計画造船における利子軽減のための「外航船建造利子補給法」制定請願をめぐる造船疑獄事件で、吉田茂内閣への批判が強まるなか、鳩山一郎ら自由党反吉田派は離党して鳩山を総裁とする日本民主党を結成した。
同年末に吉田内閣は退陣し、鳩山内閣が成立した。
4.誤り。
ロッキード事件は、昭和51年に発覚した疑獄事件で、アメリカの航空機製造大手のロッキード社が、世界各国の航空会社に大型ジェット旅客機を売り込むため、世界各国の政府関係者に巨額の賄賂をばら撒いていた事が明らかになったことを発端に日本でも内閣総理大臣(収賄当時)であった田中角栄をはじめ多くの逮捕者が出た事件である。
しかし、この事件が発覚し、田中角栄が逮捕されたのは、別の金脈問題で与党の自由民主党内で「田中おろし」がなされ、田中内閣が総辞職して三木武夫内閣が成立した後である。
また、福田赳夫内閣が成立したのは、三木武夫内閣の後である。
現職の内閣総理大臣の逮捕は可能か?
これまで、現職の内閣総理大臣が逮捕された事例はないが、それが可能なのかは憲法上の問題にかかわる。
というのは、憲法第75条は「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。」としているからである。
この規定の趣旨は、検察権による政治的介入から内閣を守ること、すなわち検察機関による不当な弾圧等によって、内閣の職務遂行に支障が生ずることを防止することにある。
そして、ここにいう「国務大臣」について、通説ないし多数説は、「内閣総理大臣は含まれない」とした上で、「内閣総理大臣は、他の国務大臣よりも強い保護がみとめられるため、国務大臣とは異なり、総理大臣自らの同意があっても、訴追することはできない。」と解している。
また「訴追」に逮捕が含まれるかも、学説による見解が分かれている。
内閣総理大臣の同意なしに国務大臣が逮捕された事例があり(昭和23年、栗栖赳夫国務大臣に対し、東京地裁が逮捕令状を交付して逮捕)、この事例に沿って「訴追とは、文字通り公訴を提起することで、逮捕・勾留とは関係ない」とする見解があるのに対し、これを批判する見解は、先例は不当な逮捕であり、法の趣旨に照らせば、公訴以上に職務遂行に支障を及ぼす逮捕・勾留は、内閣総理大臣の同意なくしてできないとする。
また、後者の見解に立てば、内閣総理大臣の逮捕は、同意にかかわらずできないということになる。
5.正しい。
消費税導入を実現した竹下登内閣は、おりからのリクルート事件の疑惑のなかで退陣した。
リクルート事件とは、昭和63年に発覚した疑獄事件で、リクルート社幹部から、値上がり確実なリクルート関連会社の未公開株が政治家等に譲渡され、多数の政治家や官僚らが贈収賄罪や政治資金規正法違反に問われた事件である。
また、竹下内閣を受け継いだ宇野宗佑内閣も、参議院選挙での与党大敗を受けてわずか69日で退陣することとなった。


この問題の成績

  • まだ、データがありません。


  • 試験過去問題の使い方

    平成30年までの行政書士試験問題の過去問を掲載しています。

    問題の解答ボタンの順番が、毎回ランダムで移動するので正解番号を覚えてしまうことを防止できます

    過去問ドリル使い方

    法令、一般知識のほか、法令につては(基礎法学、憲法<総論、人権、統治、財政>、行政法<行政手続法行政指導、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法>、民法<総則、物件、担保物件、債権>、商法、会社法、)などジャンルから選択するか、試験出題年度を選択してください。

    問題文章の後に選択肢が表示されるので、文章をタッチして解答してください

    解答画面では、過去6ヶ月間の解答について、履歴を表示するとともに、ユーザー全体の正解率を表示します。


    過去問を使った学習のヒント

    行政書士試験の本番時間は、3時間(180分) 法令46問、一般知識14問の合計60問が出題されます。

    1問あたり3分180秒で解答すれば間に合う計算になります。しかし、実際には、記述はもちろん、多肢選択、一般知識の文章読解問題は長い問題文を読んでいるだけで3分以上かかる場合もあるので180秒より速く解答する必要があります

    重要!毎日三時間用意する

    1問あたり100秒で解く(おおよそ半分の時間で一周できます)

    じゃあ残った時間は何をするのか?→解答を見る前に必ず見直すようにしてください。(回答時に自信がある問題、ない問題の目印をつけておくなど)


    過去問ドリルに取り組む前に

    一通りテキストを読み込んでから取り組みましょう。

    どの年度でもいいので初回60問といて、94点未満以下の場合はもう一度テキストを読み込む作業に戻りましょう

    300点満点中の180点取れれば合格ですので、目安として94点以上であれば、本格的に過去問ドリルに取り組んでみてください。