行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成24年51問

一般知識

○:1.ア・エ


問51 企業の独占・寡占に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア ビール、乗用車、携帯電話サービスなどは、少数の大企業に生産が集中する寡占化が進んでおり、国内の市場占有率は、近年上位3社で6割を超えている。
イ コンツェルンとは、同業種の企業が合併し、さらなる規模の利益を追求する行為をいい、独占禁止法では原則として禁止されている。
ウ カルテルとは、生産量や価格などについて、同一産業内の各企業が協定を結んで利潤率の低下を防ぐ行為をいい、独占禁上法では原則として禁止されていたが、企業の経営環境の悪化を背景として、近年認められることとなった。
エ 独占禁止法により、持ち株会社の設立は当初禁止されていたが、その後の法改正により、その設立は解禁された。
オ 公正取引委員会は、独占禁止法に違反する行為について調査する役割を担うが、行政処分をなす権限は与えられていない。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

○:1.ア・エ

☓:2.ア・オ

☓:3.イ・ウ

☓:4.ウ・オ

☓:5.エ・オ

解説

ア.妥当である。
寡占とは、少数の供給者によって、特定の市場を支配している状態をいう。
我が国では、ビール(キリン、アサヒ、サッポロ)、乗用車(トヨタ、日産、ホンダ)、携帯電話(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル)などで、市場占有率が近年上位3社で6割を超えており、寡占化が生じている。
イ.妥当でない。
独占の形態には、「カルテル」「トラスト」「コンツェルン」がある。
カルテル寡占状態にある同一業種の企業が、競争の回避と利潤の確保を目的として、価格・生産量・販路などについて協定を結ぶことをいう。
トラスト同一業種の企業が、競争の回避と利潤の確保を目的として、合併等によって一体化させる独占形態をいう。カルテルよりも結合の程度が高く、加入企業の独立性はほとんど失われる。
コンツェルン異業種企業が複数の企業の統括を第一目的とし(市場支配を直接の目的としないのはカルテルやトラストと異なっている)、金融機関または持ち株会社を頂点にして資本的に結合する独占的巨大企業集団をいう。カルテル・トラスト以上に独占の進んだ形態で、財閥解体以前の三井・三菱・住友などの財閥はコンツェルンに属する。
独占禁止法の制限
独占禁止法第2章では、不当な取引制限としてカルテルを禁止している。
また、独占禁止法第9条1項では「他の国内の会社の株式を所有することにより事業支配力が過度に集中することとなる会社は、これを設立してはならない。」とし、トラストとコンツェルンに一定の制限をかけている。ただし、持ち株会社は許容されている(肢エ参照)。
したがって、本肢の説明はトラストについてである。
ウ.妥当でない。
定義説明は正しいが、近年認められるようにはなっていない(肢イ参照)。
エ.妥当である。
前述のとおりコンツェルンに該当するものとしては、戦前の三井・三菱・住友などの財閥が挙げられるが、これはGHQが、侵略戦争遂行の経済的基盤になったとして、解体したものであり、独占禁止法でその復活を阻止すべく持株会社を作ることは長らく禁止されてきた。
しかし、長引く不況等によって、世界に対抗できる大きな企業を作る必要性があるとして、持ち株会社の設立を解禁した。
そのため、現在のコンツェルンとトラストは、事業支配力が過度に集中してはいけないという制限がされているにとどまる。
オ.妥当でない。
公正取引委員会は、独占禁止法(その特別法である下請法も含む)を運用するために内閣府の外局として、内閣総理大臣の所轄の下に設置される、合議制の行政委員会である。
また、公正取引員会は、調査する役割を担うだけではなく、行政処分をなす権限も有している。
例えば、企業がカルテル(肢イ参照)をしようとしていれば、その違反行為を排除するために必要な措置を命ずることができる(独占禁止法第7条)。


この問題の成績

  • まだ、データがありません。


  • 試験過去問題の使い方

    平成30年までの行政書士試験問題の過去問を掲載しています。

    問題の解答ボタンの順番が、毎回ランダムで移動するので正解番号を覚えてしまうことを防止できます

    過去問ドリル使い方

    法令、一般知識のほか、法令につては(基礎法学、憲法<総論、人権、統治、財政>、行政法<行政手続法行政指導、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法>、民法<総則、物件、担保物件、債権>、商法、会社法、)などジャンルから選択するか、試験出題年度を選択してください。

    問題文章の後に選択肢が表示されるので、文章をタッチして解答してください

    解答画面では、過去6ヶ月間の解答について、履歴を表示するとともに、ユーザー全体の正解率を表示します。


    過去問を使った学習のヒント

    行政書士試験の本番時間は、3時間(180分) 法令46問、一般知識14問の合計60問が出題されます。

    1問あたり3分180秒で解答すれば間に合う計算になります。しかし、実際には、記述はもちろん、多肢選択、一般知識の文章読解問題は長い問題文を読んでいるだけで3分以上かかる場合もあるので180秒より速く解答する必要があります

    重要!毎日三時間用意する

    1問あたり100秒で解く(おおよそ半分の時間で一周できます)

    じゃあ残った時間は何をするのか?→解答を見る前に必ず見直すようにしてください。(回答時に自信がある問題、ない問題の目印をつけておくなど)


    過去問ドリルに取り組む前に

    一通りテキストを読み込んでから取り組みましょう。

    どの年度でもいいので初回60問といて、94点未満以下の場合はもう一度テキストを読み込む作業に戻りましょう

    300点満点中の180点取れれば合格ですので、目安として94点以上であれば、本格的に過去問ドリルに取り組んでみてください。