解答 行政書士試験 平成24年52問
一般知識
○:4.ウ・オ
○:4.ウ・オ
問52 防災政策に関する次のア~オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。
ア 災害対策は、1960年代初頭に制定された災害対策基本法に基づくもので、災害予防、災害応急対応、災害復旧・復興の各段階において総合的な対策を講ずることが重要とされ、国が防災基本計画、都道府県・市町村が地域防災計画を、それぞれ策定することが義務付けられている。
イ 近年では、発生の頻度は低いが、発生すると大規模な被害をもたらす「低頻度巨大災害」への対応が課題となっており、被害をゼロにするという意味での「防災」ではなく、被害を少なくする「減災」の発想が重要であると指摘されている。
ウ 被災者救済に関しては、個人資産への補償は行わないとの方針がとられているため、被災者生活再建支援法では、被災者の生活再建に対する公的補助は行われているが、住宅の建設、補修等の再建方法に応じた公的補助は制度化されていない。
エ 東日本大震災からの復興を図るため、国では東日本大震災復興特別区域法を制定し、被災自治体が各種の計画を策定することによって、規制・手続等の特例、土地利用再編の特例、税制上の特例、財政・金融上の特例などの適用を受けられる仕組みをつくった。
オ 東日本大震災の被災地の復興を図るため、総務省に復興庁が設置され、復興に関する行政事務は、本来は他省庁の所管に属する事務を含めて、原則として一元的に処理することとされ、復興交付金も復興庁が決定・交付するものとなっている。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.ア・イ
☓:2.ア・ウ
☓:3.イ・エ
○:4.ウ・オ
☓:5.エ・オ
解説
ア.妥当である。
災害対策基本法は、愛知県、岐阜県、三重県及び紀伊半島一帯を中心として全国に大きな被害をもたらした伊勢湾台風を契機に制定された。
災害対策では、災害予防、災害応急対応、災害復旧・復興の各段階において総合的な対策を講ずることが重要であるため、同法では、国が防災基本計画、都道府県・市町村が地域防災計画を、それぞれ策定することを義務付けている。
イ.妥当である。
防災は、被害を出さない取り組みであるのに対して、減災はあらかじめ被害の発生を想定した上で、その被害を最小限に抑える取り組みである。
従来は、防災の観点を重視していたが、「低頻度巨大災害」に対して、被害をなくすことは、技術的にも、金銭的にも不可能に近いことから、「減災」の発想が重要であると指摘されるようになった。
ウ.妥当でない。
被災者生活再建支援法では、住宅の建設、補修等の再建方法に応じた公的補助が制度化されている。
具体的には、下記の合計で支援金の支給額が決定する。
①住宅の被害程度に応じて支給する支援金(基礎支援金)
※例えば、全壊100万円
②住宅の再建方法に応じて支給する支援金(加算支援金)
※例えば、建設し直すなら200万円
エ.妥当である。
東日本大震災からの復興を図るため、東日本大震災による復興の基本方針を定める法律として東日本大震災復興基本法が平成23年6月24日に公布・施行されており、また、同基本法に基づく実施法の一つとして、平成23年12月14日に東日本大震災復興特別区域法が施行された。
同法では、被災自治体が各種の計画を策定することによって、各種の特例の適用(規制・手続等の特例、土地利用再編の特例、税制上の特例、財政・金融上の特例)や復興交付金を受けられる仕組みが定められている。
オ.妥当でない。
前述の東日本大震災復興基本法を受けた法律の一つとして、平成24年2月10日に「復興庁設置法」が施行された。
同法に基づいて10年間を限度として(平成32年度まで)、内閣に復興庁が設置され、復興に関する行政事務は、本来は他省庁の所管に属する事務を含めて、原則として一元的に処理することとされ、復興交付金も復興庁が決定・交付することになった。
したがって、「総務省に復興庁が設置され」としている点が誤りである。
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