解答 行政書士試験 平成24年53問
一般知識
○:3.民間部門における雇用契約の締結にあたり、年少者の場合とは異なり、高齢者の雇用を制限する法律はない。
○:3.民間部門における雇用契約の締結にあたり、年少者の場合とは異なり、高齢者の雇用を制限する法律はない。
問53
日本の雇用・労働に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.労働契約は期間を定めないものが原則とされているが、嘱託、臨時、パートなどの非正規雇用に限り、上限1年の期間雇用が法律で認められている。
☓:2.賃金の支払いは通貨で行うのが原則であるが、通貨に類似する商品券等での支払いも通貨に類するものとして、法律で認められている。
○:3.民間部門における雇用契約の締結にあたり、年少者の場合とは異なり、高齢者の雇用を制限する法律はない。
☓:4.最低賃金法では支払うべき賃金の最低水準が定められているが、この水準は物価等を考慮して、市町村ごとに規定されている。
☓:5.警察職員は、労働三権のうち、団結権のみ認められているが、団体交渉権や団体行動権は認められていない。
解説
1.妥当でない。
有期労働契約は、労働基準法で従来原則1年とされていたが、平成15年に改正されて原則3年が上限となっている。ただし、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの、専門職、60歳以上の労働者などについては、3年以上の期間で労働契約ができる(労働基準法第14条1項)。
また、これは非正規雇用であるか、正規雇用であるかの区分はない。
したがって、「非正規雇用に限り、上限1年の期間雇用が法律で認められている。」わけではない。
なお、労働契約法の改正(平成25年4月施行)により、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換させる仕組みが導入されている。また、雇止め法理が明文規定されている。
雇止め法理とは?
判例によって認められていた理論であり、
有期労働契約の反復更新により無期労働契約と実質的に異ならない状態で存在している場合、または有期労働契約の期間満了後の雇用継続につき、合理的期待が認められる場合であって、雇止めが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、有期労働契約が更新(締結)されたとみなされる。
2.妥当でない。
賃金は、原則として通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない(労働基準法第24条1項本文)。
労働組合等との協定がある場合など例外的に通貨以外での支払いが許容されることもあるが、原則的には商品券等で支払うことは許されない。
3.妥当である。
年少者の制限については、原則として使用者は中学生以下の児童を雇用してはいけないことになっている(労働基準法第56条1項)。
一方、高齢者の雇用を制限する法律はない。
なお、高齢者の雇用について定めた法律としては、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高齢者雇用安定化法)があり、同法の改正(平成25年4月施行)によって、65歳未満の定年の定めをしている事業主は、下記のいずれかの措置をとらなければいけなくなっている(高齢者雇用安定化法第9条)。
①「定年の引上げ」
②「継続雇用制度の導入」
③「定年の定めの廃止」
4.妥当でない。
最低賃金法では、支払うべき賃金の最低水準として「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の2種類が定められている。
地域別最低賃金の規定上の区割りは、「あまねく全国各地域について決定されなければならない。 」とされており(最低賃金法第9条1項)、これを受けて実際には都道府県ごとに定められている。
また、地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならず、 労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮することになっている(最低賃金法第9条2項、3項)。
したがって、「市町村ごとに規定されている。」としている点が誤っている。
5.妥当でない。
公務員であっても労働基本権(団結権・団体交渉権・団体行動権)のうち、団体行動権以外は認めれることもあるが、警察職員、海上保安庁、消防員及び刑事施設において勤務する職員については、いずれの労働基本権も認められていない(国家公務員法第108条の2第5項、地方公務員法第52条5項)。
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