行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成24年55問

一般知識

○:1.個人情報保護法は、原則として生存者の個人情報を守るものであるが、死者の情報であっても、それが、同時にその遺族の個人情報でもある場合には、個人情報に含まれるものと解している。


問55

個人情報保護法*の個人情報の範囲に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
(注)* 個人情報の保護に関する法律

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

○:1.個人情報保護法は、原則として生存者の個人情報を守るものであるが、死者の情報であっても、それが、同時にその遺族の個人情報でもある場合には、個人情報に含まれるものと解している。

☓:2.個人情報保護法では、氏名のような基本的な情報は、一般に流通することが予定されているため、個人情報には含まれないと解されている。

☓:3.個人情報保護法では、思想や病歴などに関する個人情報は、いわゆるセンシティブ情報として、他の個人情報に比べて特に慎重な取扱いをする規定をおいている。

☓:4.個人情報保護法では、前科情報は公共の利益に関わるものであるから、個人情報に含まれないと解されている。

☓:5.個人情報保護法の個人情報とは、情報そのもので個人が識別されるものでなければならず、他の情報と容易に照合することによって、特定個人を識別できる情報を含まない。

解説

1.妥当である。
「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であるため(個人情報保護法第2条1項)、「死者」に関する情報は対象外である。
しかし、死者の情報であっても、それが、同時にその遺族の個人情報でもある場合には、個人情報に含まれる。
例えば、死者に関する情報である相続財産の中に遺族(相続人)の氏名と住所が記載されており遺族を特定することができる場合、当該情報は、死者の個人情報であると同時に、遺族の個人情報でもある。
2.妥当でない。
この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう(個人情報保護法第2条1項)。
したがって、氏名も含まれる。
3.妥当でない。
個人情報保護の分野で、センシティブ情報(機微な情報)とは、取り扱いに慎重な配慮が必要とされる個人情報を言う。
具体的な定義は一様ではないが、OECDの個人情報保護ガイドラインでは「社会的差別を受けうる情報」としており、また、個人情報保護に関するコンプライアンスプログラムの要求事項(JIS Q 15001: 2006)では、思想・信条・宗教・人種・民族・出生地・本籍地に関する情報などを挙げている。
一方で、個人情報保護法自体には、センシティブ情報に関する規定はおいておらず、事業者の自主性に任されている。
4.妥当でない。
前科情報は、高度にプライバシーに係わる情報であるから、当然に、個人情報に含まれると解されている。
個人情報保護法自体には、直接そのことを意識した規定はないが、行政機関個人情報保護法第45条第1項で、刑事裁判等の記録について開示、訂正及び利用停止請求に関する規定の適用を除外しているのは、前科情報が個人情報に含まれるのを前提にしている。
すなわち、個人の前科、逮捕歴、拘留歴等の情報を開示請求等の対象とすると、就職する際に提出義務を課すなどの運用が可能となり、社会復帰や更生保護上の問題が生じるため、これらの保有個人情報については、開示、訂正及び利用停止請求に関する規定の適用を除外したのである。
5.妥当でない。
個人情報保護法の個人情報とは、情報そのもので個人が識別されなくても、他の情報と容易に照合することによって、特定個人を識別できる情報を含む概念である(肢2参照)。
例えば、「10」という数字自体は、通常は個人情報でないが、セットになっている名簿に「10」は「氏名:○○」「住所:○○」と記載されていれば、この「10」という数字も個人情報になる。
なお、行政機関個人情報保護法における「個人情報」の定義では、照合の容易性は要件となっておらず、すなわち「容易」に照合できなくても、照合できさえすれば個人情報に含まれる。
このような違いがあるのは、個人情報保護法は、民間事業者が保有する個人情報が対象であり、営業の自由への配慮から個人情報をある程度限定することが必要であると考えられたのに対し、行政機関個人情報保護法は行政機関が保有する個人情報が対象であり、より厳格な個人情報保護が必要であるため、照合の容易性を要件とすることなく、保護される個人情報の範囲を広くする必要があると考えられたからである。


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