解答 行政書士試験 平成25年1問
基礎法学
○:3.甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「類推解釈」である。
○:3.甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「類推解釈」である。
問1 次の文章にいう「第二段の論理の操作」についての説明として、妥当なものはどれか。
成文法規の解釈は、まず「文理解釈」に始まり、次いで「論理解釈」に移る。文理解釈は、成文法の文章および用語について法規の意義を確定し、論理解釈は、成文法の一般規定をば具体的な事件の上に当てはめるための論理的の筋道を考察する。論理解釈を行うに当っては、第一に「三段論法」が活用される。三段論法による法の解釈は、法規を大前提とし、事件を小前提として、結論たる判決を導き出そうとするのである。しかし、いかに発達した成文法の体系といえども、絶対に完全無欠ではあり得ない。故に、特殊の事件につき直接に三段論法を適用すべき明文の規定が欠けている場合には、更に第二段の論理の操作が必要となる。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「反対解釈」である。
☓:2.乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「勿論解釈」である。
○:3.甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「類推解釈」である。
☓:4.乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「拡大解釈」である。
☓:5.甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「縮小解釈」である。
解説
1.誤り。
反対解釈とは、Aという事柄について直接規定する条文がない場合に、Bという事柄に関する法規の反対の結果をとり、それをAに当てはめて解釈することをいう。
前述の規定の例で考えた場合、猫についての規定がないときに「猫は飼っても良い」と解釈することである。
なお、本肢の説明は、類推解釈についてである(肢3参照)。
2.誤り。
勿論解釈とは、条文で明確に定められていない事項でも、その趣旨や常識に照らして含まれるのは当然(もちろん)であると解釈することである。
前述の規定の例で考えた場合、近隣の迷惑に配慮して犬を飼うことを禁止しているのだから、「ゾウを飼ってはいけないのは当然(もちろん)である」と解釈することである。
なお、本肢の説明は、立法者意志解釈についてである。
立法者意志解釈は、立法された当時の立法者の意志や立法の目的等に沿って(後者を含める場合は、歴史的解釈と呼ぶこともある)、解釈することである。
本文に出てきた文理解釈や論理解釈(この二つを併せて学理解釈と呼ぶことがある)とは別の区分による解釈手法であるため、学理解釈をするための前提として、重ねて用いることもある。
例えば、前述の規定の例で考えた場合、当該規定が制定されたのは、当時ペットを飼うのは全部許されていたが、犬が人に噛みつく事件が多発したため、あえて犬だけ飼うのを禁じたという背景や規定を作った者の意志を汲んで、「猫は飼っても良い」と反対解釈することである。
3.正しい。
類推解釈とは、ある事柄について直接規定する条文がない場合に、類似した規定を同様に法適用が行えると解釈することである。
前述の規定の例で考えた場合、同じペットであるという類似点に着目して「猫も飼うな」と解釈することである。
なお、類推解釈は、罪刑法定主義に反するという観点から、刑法で用いることは、原則として禁止されている。
4.誤り。
拡大解釈(拡張解釈)とは、多義的な語句を通常より広く解釈することをいう。
前述の規定の例で考えた場合、「イヌ科に属する動物(犬、たぬき、きつね等)はすべて飼うな」と解釈することである。
なお、本肢の説明は、立法者意志解釈についてである(肢2参照)。
5.誤り。
縮小解釈とは、多義的な語句を通常より狭く解釈することをいう。
前述の規定の例で考えた場合、「子犬は飼ってもよい」と解釈することである。
なお、本肢の説明は、類推解釈についてである(肢3参照)。
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