行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成25年13問

行政手続法

○:5.(ア)不利益処分 (イ)名宛人 (ウ)処分基準 (エ)意見公募


問13 次の文章は、処分の理由の提示のあり方が問題となった事案に関する、最高裁判所判決の一部である。空欄[ ア ]~[ エ ]に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。

「行政手続法14条1項本文が、[ ア ]をする場合に同時にその理由を[ イ ]に示さなければならないとしているのは、[ イ ]に直接に義務を課し又はその権利を制限するという[ ア ]の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を[ イ ]に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る[ ウ ]の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。(中略)
建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件[ ウ ]が定められているところ、本件[ ウ ]は、[ エ ]の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、しかも、その内容は……多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件[ ウ ]の適用関係が示されなければ、処分の[ イ ]において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような[ ウ ]の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。」
(最三小判平成23年6月7日民集65巻4号2081頁)

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.(ア)申請に対する処分 (イ)利害関係人(ウ) 審査基準 (エ)聴聞

☓:2.(ア)不利益処分 (イ)名宛人 (ウ)審査基準 (エ)聴聞

☓:3.(ア)申請に対する処分 (イ)利害関係人 (ウ)処分基準 (エ)意見公募

☓:4.(ア)不利益処分 (イ)利害関係人 (ウ)処分基準 (エ)聴聞

○:5.(ア)不利益処分 (イ)名宛人 (ウ)処分基準 (エ)意見公募

解説

本判例の事案は、1級建築士Xが建築基準法令上の耐震構造基準に満たない建築設計等を行ったため、国土交通大臣がXに対して、1級建築士取消処分(不利益処分)を下したが、その際の理由提示には、事実関係と根拠法律が記されているのみで、処分基準がどのように適用されているか記されていなかった。
そこで、Xは、行政手続法14条1項の要件を欠いた違法な処分であるとして、取消訴訟を提起した。
行政手続法14条1項
行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
本問の抜粋部分は、その理由部分であり、結論としては「行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし、同項本文の要求する理由提示としては十分でない」として、当該不利益処分は取り消されることとなった。
行政手続法14条1項本文が、[ア:不利益処分]をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、[イ:名宛人]に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を[イ:名宛人]に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る[ウ:処分基準]の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。(中略)
建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件[ウ:処分基準]が定められているところ、本件[ウ:処分基準]は、[エ:意見公募]の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、しかも、その内容は……多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件[ウ:処分基準]の適用関係が示されなければ、処分の[イ:名宛人]において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような[ウ:処分基準]の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。」


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