行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成25年16問

行政事件訴訟法

○:4.申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある」ことなどの要件を満たせば、裁判所は、申立てにより、仮の義務付けを命ずることができることとされている。


問16

いわゆる申請型と非申請型(直接型)の義務付け訴訟について、行政事件訴訟法の規定に照らし、妥当な記述はどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、一定の処分がされないことにより「重大な損害を生ずるおそれ」がある場合に限り提起できることとされている。

☓:2.申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、一定の処分をすべき旨を行政庁に命ずることを求めるにつき「法律上の利益を有する者」であれば、当該処分の相手方以外でも提起することができることとされている。

☓:3.申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、一定の処分がされないことによる損害を避けるため「他に適当な方法がないとき」に限り提起できることとされている。

○:4.申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある」ことなどの要件を満たせば、裁判所は、申立てにより、仮の義務付けを命ずることができることとされている。

☓:5.申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、それと併合して提起すべきこととされている処分取消訴訟などに係る請求に「理由がある」と認められたときにのみ、義務付けの請求も認容されることとされている。

解説

1.誤り。
非申請型の訴訟要件には、「原告適格」の他に、「損害の重大性」と「補充性」があり、すなわち一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり(損害の重大性)、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないとき(補充性)に限り、提起することができる(行政事件訴訟法第37条の2第1項)。
一方、申請型の訴訟要件に、「損害の重大性」と「補充性」は入っていない(行政事件訴訟法第37条の3参照)。
したがって、本肢は、申請型の訴訟要件には「損害の重大性」があるとしているため、誤りである。
なお、申請型の訴訟要件は、「原告適格」「申請等に対する不作為又は拒否があること」及び「併合提起すること」の三つである。
2.誤り。
非申請型の原告適格は、「行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者」である(行政事件訴訟法第37条の2第3項)。
一方、申請型の原告適格は、「当該申請又は当該審査請求をした者」だけである(行政事件訴訟法第37条の3第2項)。
したがって、本肢は、申請型の原告適格も「法律上の利益を有する者」であるとしているため、誤りである。
3.誤り。
訴訟要件に「補充性」が入っているのは、非申請型だけである(肢1参照)。
したがって、本肢は、申請型の訴訟要件には「補充性」があるとしているため、誤りである。
4.正しい。
仮の義務付けでは、申請型と非申請型の区別しておらず、その要件等は同一であり、仮の義務付けを命ずることができる場合の「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある」という要件も一緒である。
なお、裁判所が、仮の義務付け及び仮の差止めを命ずることができるのは、次の要件をすべて満たした場合である。
手続要件義務付け訴訟又は差止め訴訟が提起されていること
原告が申立てること
積極要件処分等がされる又は処分等がされないことによって生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること
本案について理由があるとみえること
消極要件公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと
5.誤り。
非申請型の本案勝訴要件は、【1】「訴訟要件の充足(肢1参照)」することに加えて①「処分すべきことが根拠法令から明らか」又は②「処分しないと裁量権の踰越又は濫用に該当する」である(行政事件訴訟法第37条の2第5項)。
一方、申請型の本案勝訴要件は、【1】「訴訟要件の充足(肢1参照)」及び【2】「各併合提起した訴えに係る請求に理由がある」ことに加えて①「処分等すべきことが根拠法令から明らか」又は②「処分等しないと裁量権の踰越又は濫用に該当する」である(行政事件訴訟法第37条の3第5項)。
つまり、共通点は多いが(【1】①②は、ほぼ一緒)、申請型には【2】「各併合提起した訴えに係る請求に理由がある」が必要という大きな違いがある。
したがって、本肢は、非申請型の本案勝訴要件に【2】を入れているので、誤りである。


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