行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成25年19問

行政法 国家賠償法

○:4.国が占有者である公の営造物の瑕疵に起因する損害の賠償責任については、必要な注意義務を国が尽くした場合の占有者としての免責に関し、民法の規定が適用される。


問19

国の損害賠償責任についての国家賠償法と民法の適用関係に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.公権力の行使に該当しない公務員の活動に起因する国の損害賠償責任については、民法の規定が適用される。

☓:2.公権力の行使に起因する損害の賠償責任については、国家賠償法に規定がない事項に関し、民法の規定が適用される。

☓:3.公の営造物に該当しない国有財産の瑕疵に起因する損害の賠償責任については、民法の規定が適用される。

○:4.国が占有者である公の営造物の瑕疵に起因する損害の賠償責任については、必要な注意義務を国が尽くした場合の占有者としての免責に関し、民法の規定が適用される。

☓:5.公権力の行使に起因する損害についても、公の営造物の瑕疵に起因する損害についても、損害賠償請求権の消滅時効に関しては、民法の規定が適用される。

解説

1.正しい。
国家賠償法第1条1項の責任が生じるのは「公権力の行使にあたる公務員が」という要件を満たす必要があり、それに該当しない公務員の活動に起因する損害賠償責任については、国家賠償法第4条により(肢2参照)、民法の規定(不法行為や使用者責任など)を適用して解決が図られる。
例えば、国公立病院の医療事故は、民法の規定を適用して解決が図られている(最判昭和36年2月16日など)。
国家賠償法第1条1項
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
2.正しい。
国又は公共団体の損害賠償の責任について、国家賠償法に規定がない事項は、民法の規定が適用される(国家賠償法第4条)。
3.正しい。
国家賠償法第2条1項の「公の営造物」とは、国又は公共団体により直接に公の目的に供せられる物のことで「公物」とほぼ同じ概念であるため、国又は公共団体が所有していた物の瑕疵に起因した損害でも、「公の営造物」に当たらず、当該規定の責任を問えないこともある。
例えば、普通財産は、公の営造物に当らないことが多いため、その瑕疵に起因する損害の賠償責任については、原則的には民法第717条の工作物責任の規定によって処理される(国家賠償法第4条)。
国家賠償法第2条1項
道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
4.誤り。
国家賠償法第2条は、民法第717条を念頭に置いて作られたものであるため、共通点も多いが、行政活動のもつ特殊性等の理由により、両規定ではいくつもの相違点があり、その一つとして、占有者の責任がある。
国家賠償法第2条における公の営造物の設置又は管理に瑕疵の責任については、過失を要件としておらず、また、判例においても無過失責任とされているのに対し(最判昭和45年8月20日)、民法上第717条の土地の工作物の設置の瑕疵については、占有者は無過失であれば免責されて、所有者が無過失責任を負うとされている。
そして、国又は公共団体の損害賠償の責任に関して、民法が適用されるのは、国家賠償法に規定がない場合であるから(国家賠償法第4条)、本肢のケースでは国家賠償法第2条の適用により、免責はされない。
なお、その他の両法の大きな相違点として、民法第717条の「土地の工作物」では原則として土地のみを対象としているのに対し、国家賠償法第2条の「公の営造物」には、公用又は公共の用に供している有体物を指し、動産も含まれるという違いがある。
5.正しい。
国家賠償法には、損害賠償請求権の消滅時効の規定がないため、1条の公権力の行使に起因する損害についても、2条の公の営造物の暇疵に起因する損害についても、民法の規定が適用される(国家賠償法第4条)。


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