解答 行政書士試験 平成25年39問
商法会社法
○:2.二つ
○:2.二つ
問39 取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)と取締役との間の取引等に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、妥当でないものはいくつあるか。
ア 取締役が自己または第三者のために会社と取引をしようとするときには、その取引について重要な事実を開示して、取締役会の承認を受けなければならない。
イ 取締役が会社から受ける報酬等の額、報酬等の具体的な算定方法または報酬等の具体的な内容については、定款に当該事項の定めがある場合を除き、会社の業務執行に係る事項として取締役会の決定で足り、株主総会の決議は要しない。
ウ 会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするときには、その取引について重要な事実を開示して、取締役会の承認を受けなければならない。
エ 取締役が会社に対し、または会社が取締役に対して訴えを提起する場合には、監査役設置会社においては監査役が会社を代表し、監査役設置会社でない会社においては会計参与が会社を代表する。
オ 取締役が自己または第三者のために会社の事業の部類に属する取引をしようとするときには、その取引について重要な事実を開示して、取締役会の承認を受けなければならない。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.一つ
○:2.二つ
☓:3.三つ
☓:4.四つ
☓:5.五つ
解説
ア.妥当である。
取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするときは、株主総会(取締役会設置会社の場合は取締役会)において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない(利益相反取引:会社法第356条1項2号、会社法第365条1項)。
なお、取締役会設置会社においては、競業取引及び利益相反取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない(会社法第365条2項)。
イ.妥当でない。
取締役の報酬等のうち「報酬等の額」、「報酬等の具体的な算定方法」、「報酬等の具体的な内容」を定款に定めていないときは、株主総会の決議によって定める(会社法第361条1項)。
したがって、これらは、取締役会の決定では足りない。
なお、当該規定は、自分(取締役)たちで自分たちの報酬を定める(取締役会で定める)といわゆる「お手盛り」となる危険があるため、設けられた規定である。
ウ.妥当である。
株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき取締役は、株主総会(取締役会設置会社の場合は取締役会)において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない(利益相反取引:会社法第356条1項3号、会社法第365条1項)。
なお、利益相反取引をした取締役は、取締役会に報告義務が生じる(肢ア参照)。
エ.妥当でない。
株式会社が取締役(取締役であった者を含む。)に対し、又は取締役(取締役であった者を含む。)が株式会社に対して訴えを提起する場合には、監査役設置会社においては監査役が会社を代表し(会社法第386条1項)、監査役非設置会社においては代表取締役(会社法第349条4項)又は株主総会若しくは取締役会が当該訴えについて株式会社を代表する者と定める者(会社法第353条、364条)が会社を代表する。
したがって、非監査役設置会社における当該訴訟では、会計参与は会社を代表しない。
オ.妥当である。
取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき取締役は、株主総会(取締役会設置会社の場合は取締役会)において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない(競業避止義務:会社法第356条第1項第1号、会社法第365条1項)。
なお、競業取引をした取締役は、取締役会に報告義務が生じる(肢ア参照)。
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