解答 行政書士試験 平成25年40問
商法会社法
○:4.会社が委員会設置会社である場合には、取締役会決議により、多額の借入れの決定権限を執行役に委任することができる。
○:4.会社が委員会設置会社である場合には、取締役会決議により、多額の借入れの決定権限を執行役に委任することができる。
問40
会社法上の公開会社における資金調達に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.特定の者を引受人として募集株式を発行する場合には、払込金額の多寡を問わず、募集事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
☓:2.株主に株式の割当てを受ける権利を与えて募集株式を発行する場合には、募集事項の通知は、公告をもってこれに代えることができる。
☓:3.募集株式一株と引換えに払い込む金額については、募集事項の決定時に、確定した額を決定しなければならない。
○:4.会社が委員会設置会社である場合には、取締役会決議により、多額の借入れの決定権限を執行役に委任することができる。
☓:5.募集社債の払込金額が募集社債を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、株主総会の決議によらなければならない。
解説
1.誤り。
公開会社が特定の者を引受人として募集株式を発行する場合(第三者割当て)の発行事項の決定は、当該第三者が特に有利になる金額であるときは(有利発行)、株主総会の特別決議を要するが(会社法第199条2項、201条1項、3項、309条2項5号)、そうでない場合は取締役会決議で足りる(会社法第201条1項、199条2項)。
したがって、「払込金額の多寡を問わず、募集事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。」とするのは誤りである。
なお、非公開会社が第三者割り当てをする場合は、払込金額の多寡を問わず、募集事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない(会社法第199条2項、309条2項5号)。
2.誤り。
株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集について募集事項を定めなければならない(会社法第199条1項)。
そして、公開会社は、その期間の初日の2週間前までに、株主に対し、当該募集事項を通知しなければならないが、この通知は、公告をもってこれに代えることができる(会社法第201条3項、4項)。
しかし、株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合には(株主割当て)、その通知は、公告をもってこれに代えることができない(会社法第202条5項)。
したがって、本肢は、通知を公告に代えることができると述べているので誤りである。
3.誤り。
株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。)又はその算定方法を定めなければならない(会社法第199条1項2号)。
また、公開会社が取締役会の決議によって募集事項を定める場合において、市場価格のある株式を引き受ける者の募集をするときは、当該事項に代えて、公正な価額による払込みを実現するために適当な払込金額の決定の方法を定めることができる(会社法第201条2項)。
したがって、「確定した額」を決定する以外にも方法はある。
4.正しい。
原則として、委員会設置会社の取締役会は、その決議によって、委員会設置会社の業務執行の決定を執行役に委任することができる(会社法第416条4項本文)。
多額の借財については、取締役会は決定を代表取締役に委任することができないとの規定はあるが(会社法第362条4項2号)、委員会設置会社の取締役会が多額の借財について執行役に委任することができないとする規定はないので(会社法第416条参照)、委任することができる。
5.誤り。
募集株式や新株予約権において、それが有利発行に当たる場合は、株主総会決議を要するが(会社法第201条1項、会社法第240条1項)、募集社債ではそのような規定はないため、取締役会が決定する(会社法第362条4項5号)。
したがって、株主総会決議によるわけではない。
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