解答 行政書士試験 平成25年45問
民法
問45 Aは、Bに対し、Cの代理人であると偽り、Bとの間でCを売主とする売買契約(以下、「本件契約」という。)を締結した。ところが、CはAの存在を知らなかったが、このたびBがA・B間で締結された本件契約に基づいてCに対して履行を求めてきたので、Cは、Bからその経緯を聞き、はじめてAの存在を知るに至った。他方、Bは、本件契約の締結時に、AをCの代理人であると信じ、また、そのように信じたことについて過失はなかった。Bは、本件契約を取り消さずに、本件契約に基づいて、Aに対して何らかの請求をしようと考えている。このような状況で、AがCの代理人であることを証明することができないときに、Bは、Aに対して、どのような要件の下で(どのようなことがなかったときにおいて)、どのような請求をすることができるか。「Bは、Aに対して、」に続けて、下線部について、40字程度で記述しなさい(「 Bは、Aに対して、」は、40字程度の字数には入らない)。
解答例
Aが行為能力を有しCの追認を得られなかったとき、履行又は損害賠償の請求をすることができる。(45字)解説
①○○なかったとき
本問は、Cが本人、Aが無権代理人、Bが相手方である無権代理人の責任に関する問題である。
一つ目の質問では無権代理人の責任追及の要件が問われているが、その要件には次のものがある。
〈1〉代理人が行為能力を有する。
〈2〉本人からの追認が得られない。
〈3〉相手方が取消権を行使していない。
〈4〉相手方が無権代理につき善意無過失。
〈5〉代理人が自己の代理権を証明することができない。
本問では、〈3〉〈4〉〈5〉は、問題設定上で既に満たしているため、〈1〉〈2〉を書くことになり、すなわち〈1〉「Aが行為能力を有し」〈2〉「本人からの追認が得られなかったとき」となる。
しかし、〈1〉については、問題がわざわざ「どのようなことがなかったときにおいて」と問うていることから、無害的記載事項と考えることもできる。
つまり、書いても書かなくても点数には無関係になる可能性があるということである。
この辺は、結局、発表されるまで分からないが、〈1〉の書き方としては、逆側の視点から「制限行為能力者でなかったとき」とすれば一応、質問に沿った解答になることも踏まえると、点数が付くキーワードの可能性も十分あり得る。
②○○請求をすることができる。
責任追及の内容について民法第114条は「相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。」としている。
本問は、相手方目線での記述が求められているから、「履行又は損害賠償の請求をすることができる。」となる。
なお、「“の”請求」「“を”請求する」にしていないと、請求が「履行」にかからなくなるため、厳しい基準の場合だと減点される可能性がある。
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