行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成26年10問

行政総論

○:2.ア・ウ


問10 行政調査に関する次のア~エの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。争いがある場合には最高裁判所の判例の立場による。

ア 行政手続法には、行政調査の手続に関する通則的な規定は置かれておらず、また、同法は、情報収集を直接の目的とする処分・行政指導には適用されない。
イ 警察官職務執行法上の職務質問に付随して行う所持品検査は、検査の必要性、緊急性の認められる場合には、相手方への強制にわたるものであっても適法である。
ウ 法律の規定を設ければ、行政調査に応じなかったことを理由として、刑罰を科すなど、相手方に不利益を課すことも許される。
エ 税務調査(質問検査権)に関しては、国税通則法により、急速を要する場合を除き、事前に裁判官の許可を得ることが必要とされている。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.ア・イ

○:2.ア・ウ

☓:3.イ・ウ

☓:4.イ・エ

☓:5.ウ・エ

解説

ア.正しい。
行政手続法には「行政調査」の手続に関する通則的な規定は置かれていない。
また、行政手続法3条1項14号に規定する「報告又は物件の提出を命ずる処分その他その職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分及び行政指導」は、適用除外となっている。
イ.誤り。
最判昭53.6.20は、「職務質問ないし所持品検査は、犯罪の予防、鎮圧等を目的とする行政警察上の作用であって、流動する各般の警察事象に対応して迅速適正にこれを処理すべき行政警察の責務にかんがみるときは、所持人の承諾のない限り所持品検査は一切許容されないと解するのは相当でなく、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、所持品検査においても許容される場合があると解すべきである」としている。
したがって、本肢は、「相手方への強制にわたるものであっても適法である」としているため、誤っている。
ウ.正しい。
行政調査における調査拒否に対して罰則を設けて間接的に調査受諾を強制することを、間接強制調査という。現行法上、その例は多い(たとえば、国税通則法127条2号、食品衛生法17条・73条、土地収用法13条・143条2号など)。
したがって、「法律の規定を設ければ、行政調査に応じなかったことを理由として、刑罰を科するなど、相手方に不利益を課すことも許される」とする記述は正しい。
エ.誤り。
国税通則法には、「税務調査に関しては、急速を要する場合を除き、事前に裁判官の許可を得ることが必要とされている」という旨の規定は存在しない。
なお、国税犯則取締法2条1項は、「収税官吏は犯則事件を調査する為必要あるときは其の所属官署の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官の許可を得て臨検、捜索又は差押を為すこと得」と規定し、裁判官の許可を必要とする旨の規定がある。


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