行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成26年18問

行政事件訴訟法

○:3.公文書の非公開決定の取消しを求める利益は、当該公文書が裁判所に書証として提出された場合でも失われない。


問18

狭義の訴えの利益に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.都市計画法に基づく開発許可の取消しを求める利益は、開発行為に関する工事の完了によっても失われない。

☓:2.市立保育所の廃止条例の制定行為の取消しを求める利益は、原告らに係る保育の実施期間がすべて満了したとしても失われない。

○:3.公文書の非公開決定の取消しを求める利益は、当該公文書が裁判所に書証として提出された場合でも失われない。

☓:4.土地収用法による明渡裁決の取消しを求める利益は、明渡しに関わる代執行の完了によっても失われない。

☓:5.衆議院議員選挙を無効とすることを求める利益は、その後に衆議院が解散され、当該選挙の効力が将来に向かって失われたときでも失われない。

解説

1.妥当でない。
都市計画法に基づく開発許可の取消を求める利益について判例は「開発行為に関する工事が完了し、検査済証の交付もされた後においては、開発許可が有する前記のようなその本来の効果は既に消滅しており、他にその取消しを求める法律上の利益を基礎付ける理由も存しないことになるから、開発許可の取消しを求める訴えは、その利益を欠く」としている(最判平成5年9月10日)。
したがって、開発行為に関する工事が完了すれば訴えの利益は消滅する。
2.妥当でない。
市立保育所の廃止条例の制定行為の取消しを求める利益について判例は「上告人らに係る保育の実施期間がすべて満了していることが明らかであるから、本件改正条例の制定行為の取消しを求める訴えの利益は失われたものというべきである。」としている(最判平成21年11月26日)。
したがって、原告らにかかる保育の実施期間が全て満了すれば訴えの利益は消滅する。
3.妥当である。
「本件条例に基づき公文書の公開を請求して、所定の手続により請求に係る公文書を閲覧し、又は写しの交付を受けることを求める法律上の利益を有するというべきであるから、請求に係る公文書の非公開決定の取消訴訟において当該公文書が書証として提出されたとしても、当該公文書の非公開決定の取消しを求める訴えの利益は消滅するものではないと解するのが相当である。」(最判平成14年2月28日)
4.妥当でない。
土地収用法による明渡裁決の取消しを求める利益について判例は「建築基準法9条1項の規定により除却命令を受けた違反建築物について代執行による除却工事が完了した以上、右除却命令および代執行令書発付処分の取消しを求める訴は、その利益を有しないものと解すべきである」としている(最判昭和48年3月6日)。
5.妥当でない。
衆議院議員選挙を無効とすることを求める利益について判例は「解散によって本件選挙の効力は将来に向かって失われたものと解すべきであるから、本件訴えについては、訴えの利益が失われたというべきである。」としている(最判平成17年9月27日)。
したがって、衆議院が解散され当該選挙の効力が将来に向かって失われたときは、訴えの利益も消滅する。


この問題の成績

  • まだ、データがありません。


  • 試験過去問題の使い方

    平成30年までの行政書士試験問題の過去問を掲載しています。

    問題の解答ボタンの順番が、毎回ランダムで移動するので正解番号を覚えてしまうことを防止できます

    過去問ドリル使い方

    法令、一般知識のほか、法令につては(基礎法学、憲法<総論、人権、統治、財政>、行政法<行政手続法行政指導、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法>、民法<総則、物件、担保物件、債権>、商法、会社法、)などジャンルから選択するか、試験出題年度を選択してください。

    問題文章の後に選択肢が表示されるので、文章をタッチして解答してください

    解答画面では、過去6ヶ月間の解答について、履歴を表示するとともに、ユーザー全体の正解率を表示します。


    過去問を使った学習のヒント

    行政書士試験の本番時間は、3時間(180分) 法令46問、一般知識14問の合計60問が出題されます。

    1問あたり3分180秒で解答すれば間に合う計算になります。しかし、実際には、記述はもちろん、多肢選択、一般知識の文章読解問題は長い問題文を読んでいるだけで3分以上かかる場合もあるので180秒より速く解答する必要があります

    重要!毎日三時間用意する

    1問あたり100秒で解く(おおよそ半分の時間で一周できます)

    じゃあ残った時間は何をするのか?→解答を見る前に必ず見直すようにしてください。(回答時に自信がある問題、ない問題の目印をつけておくなど)


    過去問ドリルに取り組む前に

    一通りテキストを読み込んでから取り組みましょう。

    どの年度でもいいので初回60問といて、94点未満以下の場合はもう一度テキストを読み込む作業に戻りましょう

    300点満点中の180点取れれば合格ですので、目安として94点以上であれば、本格的に過去問ドリルに取り組んでみてください。