解答 行政書士試験 平成26年27問
民法債権
○:3.X会が権利能力なき社団である場合、X会の取引上の債務については、その構成員全員に1個の債務として総有的に帰属し、X会の社団財産がその債務のための責任財産になるとともに、構成員であるA、B、CおよびDも各自が連帯して責任を負う。
○:3.X会が権利能力なき社団である場合、X会の取引上の債務については、その構成員全員に1個の債務として総有的に帰属し、X会の社団財産がその債務のための責任財産になるとともに、構成員であるA、B、CおよびDも各自が連帯して責任を負う。
問27
A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.X会が権利能力なき社団であり、Aがその代表者である場合、X会の資産として不動産があるときは、その不動産の公示方法として、Aは、A個人の名義で所有権の登記をすることができる。
☓:2.X会が民法上の組合である場合、X会の取引上の債務については、X会の組合財産がその債務のための責任財産になるとともに、組合員であるA、B、CおよびDも、各自が損失分担の割合に応じて責任を負う。
○:3.X会が権利能力なき社団である場合、X会の取引上の債務については、その構成員全員に1個の債務として総有的に帰属し、X会の社団財産がその債務のための責任財産になるとともに、構成員であるA、B、CおよびDも各自が連帯して責任を負う。
☓:4.X会が民法上の組合である場合、組合員であるA、B、CおよびDは、X会の組合財産につき持分権を有するが、X会が解散して清算が行われる前に組合財産の分割を求めることはできない。
☓:5.X会が権利能力なき社団である場合、構成員であるA、B、CおよびDは、全員の同意をもって、総有の廃止その他X会の社団財産の処分に関する定めのなされない限り、X会の社団財産につき持分権を有さず、また、社団財産の分割を求めることができない。
解説
1.正しい。
最判昭47.6.2は、「権利能力なき社団の構成員全員の総有に属する社団の資産たる不動産については、従来から、その公示方法として、本件のように社団の代表者個人の名義で所有権の登記をすることが行なわれているのである。」としている。
なお、権利能力なき社団の構成員全員の共有名義で登記することもできるが、権利能力なき社団名義やその肩書き付の名義で登記することはできない。
2.正しい。
民法674条1項、2項は、「当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定める。」「利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定する。」と規定している。
したがって、X会が民法上の組合である場合、X会の取引上の債務については、X会の組合財産がその債務の責任財産であるとともに、組合員も、各自が損失分担の割合に応じて責任を負う、とする記述は正しい。
3.誤り。
最判昭48.10.9は、「権利能力なき社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、その社団の構成員全員に、一個の義務として総有的に帰属するとともに、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し、直接には個人的債務ないし責任を負わないと解するのが、相当である。」と判示している。
したがって、本肢は、構成員であるA、B、CおよびDも各自が連帯して責任を負うとしている点で、誤っている。
4.正しい。
民法676条2項は、「組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができない。」と規定している。
なお、民法上の組合と権利能力なき社団の組合員と社員とを比較すると、次のようになる。
持分権責任
権利能力なき社団なし社員は責任を負わない
民法上の組合あり組合員は責任を負う
上記は、権利能力なき社団は「なし、なし」、民法上の組合は「あり、あり」と覚えると覚えやすいかも知れない。
5.正しい。
肢4の表を参照。
権利能力なき社団の財産については総有的に帰属すると解される。そうすると、社団の構成員に持分権は認められず、社団財産の分割も認められないこととなる。
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