行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成26年39問

商法会社法

○:4.株主総会の決議取消しの訴えにおいて、株主総会の決議の方法に関する瑕疵が重大なものであっても、当該瑕疵が決議に影響を及ぼさなかったものと認められる場合には、裁判所は、請求を棄却することができる。


問39

株主総会の決議に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、妥当でないものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1取締役会設置会社の株主総会は、法令に規定される事項または定款に定められた事項に限って決議を行うことができる。

☓:2.取締役設置会社以外の会社の株主総会においては、招集権者が株主総会の目的である事項として株主に通知した事項以外についても、決議を行うことができる。

☓:3.取締役または株主が株式総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき議決権を行使できる株主の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株式総会の決議があったとみなされる。

○:4.株主総会の決議取消しの訴えにおいて、株主総会の決議の方法に関する瑕疵が重大なものであっても、当該瑕疵が決議に影響を及ぼさなかったものと認められる場合には、裁判所は、請求を棄却することができる。

☓:5.会社を被告とする株主総会の決議取消しの訴え、決議の無効確認の訴え、および決議の不存在確認の訴えにおいて、請求認容の判決が確定した場合には、その判決は、第三者に対しても効力を有する。

解説

1.妥当である。
株主総会は、会社のオーナーの総会であるから、本来「この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。」(会社法295条1項)。
しかし、同法2項では、「…取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。」と規定されている。
なお、これは、根本的な事項は株主総会で決議し、細かい事項は経営のプロである取締役会に任せようという趣旨である。
2.妥当である。
会社法309条5項本文は、「取締役会設置会社においては、株主総会は、第298条第1項第2号に掲げる事項〔注:取締役又は株主が株主総会を招集する場合に定められる株主総会の目的である事項〕以外の事項については、決議をすることができない」と規定する。 
一方、取締役会設置会社以外の会社に対してはこのような規定はなく、招集通知によって株主に通知した事項以外についても、決議を行うことができる。
3.妥当である。
会社法319条1項は、「取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。」と規定している。
4.妥当でない。
会社法831条2項は、「前項の訴え〔注:株主総会の決議取消しの訴え〕の提起があった場合において、株主総会等の決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、同項の規定による請求を棄却することができる。」と規定している。
この規定は2つの要件が「かつ」で結ばれているので、その反対解釈から、違反する事実(瑕疵)が重大であっても、決議に影響を及ぼすものであると認められない場合には、裁判所がこれを理由として請求を棄却することはできないことになる。
したがって、本肢は、瑕疵が重大なものであっても、当該瑕疵が決議に影響を及ぼさなかったものと認められる場合には、裁判所は、請求を棄却できるとしている点で、妥当ではない。
5.妥当である。
会社法838条は「会社の組織に関する訴えに係る請求を認容する確定判決は、第三者に対してもその効力を生ずる。」と規定している。
ここで、「会社の組織に関する訴え」とは会社法834条各号所定の訴えをいい、株主総会の決議取消しの訴え(17号)、決議の無効確認の訴え及び決議の不存在確認の訴え(16号)は、会社の組織に関する訴えに含まれる。


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