解答 行政書士試験 平成26年8問
行政総論
○:4.(ア)期限 (イ)負担 (ウ)許可 (エ)撤回
○:4.(ア)期限 (イ)負担 (ウ)許可 (エ)撤回
問8 次の会話の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものほどれか。
A「私も30年近く前から自動車の運転免許を持っているのですが、今日はこれを素材にしてちょっと行政法のことについて聞きましょう。これが私の持っている免許証ですが、これにはいろいろな記載がなされています。これらの記載が行政法学上、どのように位置づけられるか答えてください。まず、最初に免許証について『平成29年08月15日まで有効』と書かれていますが、これはどうかな。」
B「その記載は、行政処分に付せられる附款の一種で、行政法学上、[ ア ]と呼ばれるものです。」
A「そうですね。次ですが、『免許の条件等』のところに『眼鏡等』と書かれています。これはどうでしょう。」
B「これは、運転にあたっては視力を矯正する眼鏡等を使用しなければならないということですから、それも附款の一種の[ イ ]と呼ばれるものです。」
A「それでは、運転免許は一つの行政行為とされるものですが、これは行政行為の分類ではどのように位置づけられていますか。」
B「運転免許は、法令により一度禁止された行為について、申請に基づいて個別に禁止を解除する行為と考えられますから、その意味でいえば、[ ウ ]に当たりますね。」
A「よろしい。最後ですが、道路交通法103条1項では、『自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき』、公安委員会は、『免許を取り消』すことができると規定しています。この『取消し』というのは、行政法の学問上どのような行為と考えられていますか。」
B「免許やその更新自体が適法になされたのだとすれば、その後の違反行為が理由になっていますから、それは行政法学上、[ エ ]と呼ばれるものの一例だと思います。」
A「はい、結構です。」
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.(ア)条件 (イ)負担 (ウ)免除 (エ)取消し
☓:2.(ア)期限 (イ)条件 (ウ)特許 (エ)撤回
☓:3.(ア)条件 (イ)負担 (ウ)特許 (エ)取消し
○:4.(ア)期限 (イ)負担 (ウ)許可 (エ)撤回
☓:5.(ア)期限 (イ)条件 (ウ)許可 (エ)取消し
解説
ア.期限
期限とは、行政行為の効力の発生・消滅を発生確実な事実にかからせる意思表示をいう。
自動車の運転免許証にある「平成29年08月15日まで有効」との記載は、発生確実な事実にかからせるから、期限に当たる。
なお、期限の中でも効果の消滅を表す「終期」と呼ばれるものである。
イ.負担
負担とは、許可や、特許などをする際に、法令により課される義務とは別に作為義務又は不作為義務を課す意思表示である。
「免許の条件等」の個所に「眼鏡等」と記載されていることは、相手方の特定の義務であるから、負担に当たる。
これについては、「条件」と間違いやすいので気をつけて頂きたい。
ウ.許可
許可とは、(本来は自由なのであるが)個人の自由を一般的に禁止し、申請に基づき禁止を解除する行為をいう。
運転免許は、法令により一度禁止された行為について、申請に基づいて個別に禁止を解除する行為であるから、許可に当たる。
要するに、法律がなければ、皆が自動車の運転ができるはずであるが、それだと危ないので、それを一度皆に禁止し、ある特定の人には「自動車を運転してもいいですよ」というのが運転免許の許可である。
エ.撤回
撤回とは、行政行為の適法な成立後、後発的な事情により、当該行為を将来的に無効とすることをいう。
免許やその更新自体が適法になされたとすれば、その後の違反行為が理由になっているから、免許取消しは、撤回に当たる。
なお、「撤回」と「取消し」は区別して頂きたい。
「取消し」は原始的事由により遡及的に無効とするのに対し、「撤回」は後発的事由により将来に向かって無効とすることである。
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