行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成28年39問

会社法

○:2.監査等委員会設置会社は、定款で定めた場合には、指名委員会または報酬委員会のいずれかまたは双方を設置しないことができる。


問39

監査等委員会設置会社または指名委員会等設置会社に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.監査等委員会設置会社または指名委員会等設置会社は、いずれも監査役を設置することができない。

○:2.監査等委員会設置会社は、定款で定めた場合には、指名委員会または報酬委員会のいずれかまたは双方を設置しないことができる。

☓:3.監査等委員会設置会社または指名委員会等設置会社は、いずれも取締役会設置会社である。

☓:4.監査等委員会設置会社を代表する機関は代表取締役であるが、指名委員会等設置会社を代表する機関は代表執行役である。

☓:5.監査等委員会設置会社または指名委員会等設置会社は、いずれも会計監査人を設置しなければならない。

解説

1.正しい。
条文によると、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、監査役を置いてはならないとされている(会社法第327条第4項)。監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社では、監査役ではなく取締役による監督が期待されており、社外取締役を中心に監督がなされる。監査役はそもそも存在しないのである。
したがって、監査役を設置することができないとする本肢は正しい。
ところで、取締役の監督を期待する理由は、監督権限の範囲の広さにある。監査役の監査権限は、会計監査権限と業務監査権限(適法性監査権限)である。監査役は、経営上の責任を負わないため、業務監査権限のうち適法性監査権限を有し、妥当性監査権限までは有しないとする見解が有力である。一方で取締役は経営者であり、経営上の責任があるため、経営上の妥当不当まで口をはさむことができる、つまり妥当性監査権限まで有するのである。
2.誤り。
監査等委員会設置会社には、指名委員会及び報酬委員会は存在しない。
したがって、指名委員会または報酬委員会のいずれかまたは双方を設置しないことができるとする本肢は誤り。
なお、2014年の改正会社法で監査等委員会設置会社の制度が導入されたいきさつはこうである。委員会設置会社という形態は既にあったものの、指名委員会及び報酬委員会の存在が委員会設置会社の形態を利用する際の障害になっていた。役員人事権と報酬決定権を実質的に社外取締役に委ねてしまうのが、現実的ではないためである。
そこで委員会設置会社から指名・報酬の両委員会をなくした新たな形態が求められ、これが登場することになる。これが監査等委員会設置会社である。
本肢は会社法の問題であるものの、日本経済新聞などを読んでいた方にとっては一般知識の問題として解けたのであろう。
3.正しい。
条文によると、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、取締役会を置かなければならない(会社法第327条第1項第3号第4号)。両形態の会社とも、取締役の監督権限の行使が期待されており、取締役会の設置が必須となっている(取締役会には、そもそも監督機能がある点を思い出してもらいたい。会社法第362条第2項第2号参照)。
したがって、条文のままである本肢は正しい。
4.正しい。
条文によると、指名委員会等設置会社では、代表執行役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有するとされている(会社法第420条第3項、会社法第349条第4項)。一方で監査等委員会設置会社は代表執行役についての条文はなく、代表取締役が、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する(会社法第349条第4項)。
したがって、監査等委員会設置会社は代表取締役が、指名委員会等設置会社は代表執行役が株式会社を代表するという本肢は正しい。
5.正しい。
条文によると、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、会計監査人を置かなければならないとされている(会社法第327条第5項)両形態の会社とも、特定の者が業務上の意思決定をし、執行までなすことがある以上は、監視・監督体制を強化しなければいけないためである。
したがって、内容として条文のままである本肢は正しい。


この問題の成績

  • まだ、データがありません。


  • 試験過去問題の使い方

    平成30年までの行政書士試験問題の過去問を掲載しています。

    問題の解答ボタンの順番が、毎回ランダムで移動するので正解番号を覚えてしまうことを防止できます

    過去問ドリル使い方

    法令、一般知識のほか、法令につては(基礎法学、憲法<総論、人権、統治、財政>、行政法<行政手続法行政指導、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法>、民法<総則、物件、担保物件、債権>、商法、会社法、)などジャンルから選択するか、試験出題年度を選択してください。

    問題文章の後に選択肢が表示されるので、文章をタッチして解答してください

    解答画面では、過去6ヶ月間の解答について、履歴を表示するとともに、ユーザー全体の正解率を表示します。


    過去問を使った学習のヒント

    行政書士試験の本番時間は、3時間(180分) 法令46問、一般知識14問の合計60問が出題されます。

    1問あたり3分180秒で解答すれば間に合う計算になります。しかし、実際には、記述はもちろん、多肢選択、一般知識の文章読解問題は長い問題文を読んでいるだけで3分以上かかる場合もあるので180秒より速く解答する必要があります

    重要!毎日三時間用意する

    1問あたり100秒で解く(おおよそ半分の時間で一周できます)

    じゃあ残った時間は何をするのか?→解答を見る前に必ず見直すようにしてください。(回答時に自信がある問題、ない問題の目印をつけておくなど)


    過去問ドリルに取り組む前に

    一通りテキストを読み込んでから取り組みましょう。

    どの年度でもいいので初回60問といて、94点未満以下の場合はもう一度テキストを読み込む作業に戻りましょう

    300点満点中の180点取れれば合格ですので、目安として94点以上であれば、本格的に過去問ドリルに取り組んでみてください。