行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成29年39問

会社法

○:1.ア・イ


問39 株式会社の取締役の報酬等に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。

ア.取締役の報酬等は、当該株式会社の分配可能額の中から剰余金の処分として支給され、分配可能額がない場合には、報酬等を支給することはできない。
イ.指名委員会等設置会社でない株式会社において、取締役の報酬等として当該株式会社の株式または新株予約権を取締役に付与する場合には、取締役の報酬等に関する定款の定めも株主総会の決議も要しない。
ウ.監査等委員会設置会社において、監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員以外の取締役の報酬等について、監査等委員会の意見を述べることができる。
エ.指名委員会等設置会社において、報酬委員会は取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針を定めなければならず、当該方針に従って、報酬委員会は取締役の個人別の報酬等の内容を決定する。
オ.監査等委員会設置会社において、監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができる。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

○:1.ア・イ

☓:2,ア・オ

☓:3,イ・ウ

☓:4,ウ・エ

☓:5,エ・オ

解説

ア.誤り。
取締役の報酬については、分配可能額がない場合には支給することができないとする条文はない(会社法361条、461条参照)。
したがって本肢は誤り。
ところで条文に「ないこと」を本試験会場で自信を持って「こんな条文はない」と答えるのは難しいであろう。「あること」を「ある」と指摘するよりも、難易度は高い。
このような場面では、単に「知っている・知らない」だけで答えるのではなく、あなたの常識を総動員して答えて欲しい。
本肢であればこうである。「分配可能額」は主に剰余金の配当の場面で登場することはご存知であろう。剰余金の配当は会社と株主との間の話であって、分かりやすく言ってしまうと「利益の処分」の場面だといえる。一方で、取締役の報酬は利益の処分とは言えず、委任契約の対価として「経費の支出」として支給するものである。これだけ性質が違うのだから、同じように扱うことはないのである。知らないことを問われても、考えに考えた上で解答して欲しい。
イ.誤り。
条文によると「取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(報酬等)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。③報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容」と規定されている(会社法361条1項3号)。したがって金銭以外でなくとも報酬等に当たるのだから、定款で定めるか、株主総会の決議で定めることになる。
したがって、本肢は誤り。
ウ.正しい。
条文によると、「監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができる」と規定されている(会社法361条6項)。監査等委員の監督機能の一つである。
したがって本肢は正しい。
エ.正しい。
条文は「報酬委員会は、執行役等(取締役含む)の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針を定めなければならない」と定め(会社法409条1項)、さらに「報酬委員会は、第404条第3項の規定による決定(執行役等(取締役含む)の個人別の報酬等の内容の決定)をするには、前項の方針に従わなければならない」とも規定されている(会社法409条2項)。
したがって本肢は正しい。
オ.正しい。
条文によると「監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができる」と規定されている(会社法361条5項)。
したがって本肢は正しい。


この問題の成績

  • まだ、データがありません。


  • 試験過去問題の使い方

    平成30年までの行政書士試験問題の過去問を掲載しています。

    問題の解答ボタンの順番が、毎回ランダムで移動するので正解番号を覚えてしまうことを防止できます

    過去問ドリル使い方

    法令、一般知識のほか、法令につては(基礎法学、憲法<総論、人権、統治、財政>、行政法<行政手続法行政指導、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法>、民法<総則、物件、担保物件、債権>、商法、会社法、)などジャンルから選択するか、試験出題年度を選択してください。

    問題文章の後に選択肢が表示されるので、文章をタッチして解答してください

    解答画面では、過去6ヶ月間の解答について、履歴を表示するとともに、ユーザー全体の正解率を表示します。


    過去問を使った学習のヒント

    行政書士試験の本番時間は、3時間(180分) 法令46問、一般知識14問の合計60問が出題されます。

    1問あたり3分180秒で解答すれば間に合う計算になります。しかし、実際には、記述はもちろん、多肢選択、一般知識の文章読解問題は長い問題文を読んでいるだけで3分以上かかる場合もあるので180秒より速く解答する必要があります

    重要!毎日三時間用意する

    1問あたり100秒で解く(おおよそ半分の時間で一周できます)

    じゃあ残った時間は何をするのか?→解答を見る前に必ず見直すようにしてください。(回答時に自信がある問題、ない問題の目印をつけておくなど)


    過去問ドリルに取り組む前に

    一通りテキストを読み込んでから取り組みましょう。

    どの年度でもいいので初回60問といて、94点未満以下の場合はもう一度テキストを読み込む作業に戻りましょう

    300点満点中の180点取れれば合格ですので、目安として94点以上であれば、本格的に過去問ドリルに取り組んでみてください。