解答 行政書士試験 平成29年9問
行政総論
○:3,無効の行政行為については、当該処分の取消訴訟について、個別法に審査請求前置が規定されていても、直ちに無効確認訴訟を提起することが許される。
○:3,無効の行政行為については、当該処分の取消訴訟について、個別法に審査請求前置が規定されていても、直ちに無効確認訴訟を提起することが許される。
問9
無効の行政行為に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.無効の行政行為については、それを争う訴訟として無効確認訴訟が法定されており、その無効を実質的当事者訴訟や民事訴訟において主張することは許されない。
☓:2,無効の行政行為については、それを取り消すことはできないから、たとえ出訴期間内であっても、それに対して提起された取消訴訟は不適法とされる。
○:3,無効の行政行為については、当該処分の取消訴訟について、個別法に審査請求前置が規定されていても、直ちに無効確認訴訟を提起することが許される。
☓:4,無効の行政行為については、客観的に効力が認められないのであるから、その無効を主張する者は、何人でも、無効確認訴訟を提起して、これを争うことができる。
☓:5,無効の行政行為については、その執行は認められず、これを何人も無視できるから、無効確認訴訟には、仮の救済のための執行停止制度の準用はなされていない。
解説
1.妥当でない。
無効確認訴訟は、原則として補充的に用いられるものであり、その他の訴訟手段で争えるのであれば、それを否定するものではない。したがって、当事者訴訟や民事訴訟を通じて、無効な行政行為について争うことも可能である。
2.妥当でない。
そもそも、無効といえるかどうかは明確な判断基準はない。従って、重大かつ明白な瑕疵があったとしても、出訴期間内であれば取消訴訟を提起して争うのが一般的である。あくまで、無効確認訴訟というのは補充的なものであるイメージを持っておくとよいだろう。
3.妥当である。
審査請求前置主義が個別法で規定されている場合であったとしても、無効なものについてはそもそも最初から効力がないはずであり、それを確認する訴訟を提起するにあたり、審査請求をしないで直ちに無効確認訴訟を提起することも可能である。
4.妥当でない。
行政事件訴訟法36条は、無効等確認訴訟における原告適格について規定している。したがって、何人でも訴訟提起することができるわけではなく、訴訟提起ができるのは原告適格のある者に限定される。
5.妥当でない。
確かに無効な行為には公定力も働かないことになるが、現実には、無効といえるほどの瑕疵なのかどうか訴訟提起して判決が出るまでは分からない。当事者が無効な処分と判断して無視をしても行政の側からは、適法な処分であるとして、更に追加の処分を下す可能性が高く、その意味では取消訴訟と無効等確認訴訟は同様の効果がある。
執行停止についても、無効等確認訴訟に準用されている(行政事件訴訟法38条3項)。
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