行政書士試験 平成19年58問
一般知識 文章理解
問58 次の文章の空欄[ア]~[オ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。
企業間の関係についてのもうひとつの古典的な理論によれば、取引関係に何らかの不満がある場合、当事者の取る対応は「退出」(Exit)と「発言」(Voice)に分かれます。前者は何も言わずにそのまま取引を打ち切るという対応、後者は不満の内容を相手に明確に伝え、改善を促すという対応です。もちろん、退出と短期的な取引関係、発言と長期的・協力的な取引関係は[ア]な関係にあります。
発言は退出に比べて面倒で時間の掛かる方法ですが、何が悪いのかが相手に明確に伝わるために、改善が行われやすいというメリットがあります。ただし、相手のほうが立場が強いときには発言を行いにくいし、相手と取引している者が自分の他に何人かいる場合には、誰か他の人が発言するのを期待して(他人の発言への「ただ乗り」)、誰も発言しなくなる可能性があります。自分の発言の成果が自分だけのものにならず、ライバルたちを利する結果になるからです。退出は[イ]にはコストの掛からない方法であり、他に選択肢がいろいろある場合には有効ですが、特殊な設備や技術等のためにその取引にロックインされていると取引相手の変更は難しく、退出のコストが大きくなります。このように、取引関係の性質によって、退出と発言のどちらが行われやすいかが異なり、それがその後の取引関係のパターンを決めていくことになるのです。
もっとも、この2つの対応は必ずしも[ウ]な選択肢ではありません。発言は、取引関係がいつまでも改善されなければ[エ]に退出するという選択肢があってこそ、有効な対応になります。日本では例えばアメリカと比べれば取引関係や雇用関係が(今でもなお)[オ]ですが、それは必ずしも排他性やぬるま湯的な非効率を意味するものではありません。むしろ、発言に基づく長期的な関係の中で信頼関係が築かれ、成果が長い目で評価されることによって、上記の取引費用が節約され、矩期的な利害に振り回されることなく、長期的な視点から相互の利益を高めるための努力が行われる可能性があるのです。
(出典 岡室博之「企業と企業の結びつき」より)
選択肢(タッチして解答 選択肢の表示順はランダムで変更されます)
2.(ア)一般的 (イ)最終的 (ウ)補完的 (エ)一時的 (オ)相互補完的
5.(ア)補完的 (イ)一般的 (ウ)排他的 (エ)最終的 (オ)長期安定的
4.(ア)一般的 (イ)最終的 (ウ)排他的 (エ)優先的 (オ)労使協調的
3.(ア)補完的 (イ)一般的 (ウ)互換的 (エ)優先的 (オ)長期安定的
1.(ア)排他的 (イ)一時的 (ウ)互換的 (エ)最終的 (オ)労使協調的
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