行政書士過去問ドリル

行政書士試験 平成20年58問

一般知識 文章理解


問58 次の文章は、「公共哲学」について述べているが、ア~オの記述のうち、本文の趣旨と合うものの組合せとして、妥当なものはどれか。

「広く社会一般に利害や正義を有する性質」(『広辞苑』第五版)という意味での公共性は、政府だけではなく、市民、国民、住民などの総称としての「民(たみ)」も担っているのであり、その解明には、既存の社会科学バラダイム*では不十分で、「政府の公(オフィシャル)」と「民の公共(パブリック)」を区別しつつ、その「相互作用」を明らかにする公共哲学が不可欠となる。
  このような公共哲学は、滅私奉公で国家への忠誠を謳った戦前の「公哲学」とは全く異なるし、また現代のリベラリズムが説くような「公私二元論」にも満足しない。政治や司法などの領域や国家の税金で賄われる組織を「公領域」と考え、個人の幸福追求や家庭はもとより、経済や宗教なども「私的領域」とみなす公私二元論は、経済や宗教や家庭がもつ公共的次元を看過している。
  公哲学に反対し、公私二元論に与(くみ)さないこの公共哲学は、個人が「他者とのコミュニケーション」を通して自分を活かしながら、「民の公共性」を開花させ、「政府の公」をできるだけ開いていくという意味での「活私開公」を志向する。唯我論や利己主義と異なるこの人間像によって、また集団主義と異なるこの社会像によって、「個人の尊厳と公共性」は対立するどころか補完しあうと、公共哲学は考えるのである。
  さらにまた、公共哲学は、「現実主義VS.理想主義」「グローバリズムVS.ローカリズム」といった二項対立に風穴をあける。前者についていえば、社会が現実に「ある」姿の考察と、社会の「あるべき」理想と、その理想が「実現できる」可能性の三つを区別しつつも切り離さない方法論によって、公共哲学は、単なる現実主義や理想主義と区別された「理想主義的現実主義」ないし「現実主義的理想主義」をモットーとする。後者についていえば、各自がそれぞれの「現場」や「地域」(ローカリティ)に根ざしながら、平和、環境、福祉などグローバルな問題を追究する「グローカルな視座」を重視する。
  かくして公共哲学は、哲学不在の日本社会の閉塞状態を突破する起爆剤を、人々に提供するのである。
(出典 山脇直司「哲学不在の社会とその突破口」より)
(注)*パラダイム:ある分野での、その時代ないし社会で共有している思考の枠組み、学問の方法論。(共通の基準の意でも使われる。)
ア、「民の公共」という表現が「民」であるにもかかわらず「公」であるのは、正義という規律が、個人の行動、意志まで制約する社会基盤であることによる。
イ、公共哲学の使命は、パブリックの立場がオフィシャルと対立する構造を明確にすることで、個人の立場を社会的に意味づけることを保証する点にある。
ウ、公私二元論の限界を打破するには、二項対立的な考え方の限界に対して、民のもつ社会性を認識させ「公」につながる役割を明確にすることが必要である。
エ、二項対立は、「公の中心性」に対して「民の個人性」を考えるので、公共哲学のあるべき理想を考えるとき、経済や宗教等をいかに活用するかがポイントとなる。
オ、「グローカル」という語は、グローバルとローカルのそれぞれの視点を統合しており、既存の二項対立的な社会科学的パラダイムから脱した新たな考え方を示したものである。

選択肢(タッチして解答 選択肢の表示順はランダムで変更されます)

1.ア・ウ

5.エ・オ

2.ア・エ

3.イ・エ

4.ウ・オ

平成20年第58問解説 平成20年第59問 平成20年第57問

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