行政書士過去問ドリル

行政書士試験 平成20年59問

一般知識 文章理解


問59 次の文章は、医療と信仰に関する文章である。ア~オの記述は、本文の下線部でのヒポクラテスの批判を説明しているものであるが、ヒポクラテスの側に立つ説明を(A)、批判されている側に立つ説明を(B)としたとき、(A)(B)それぞれに対応するものの組合せとして、適当なものはどれか。

医はしばしば信仰と結びつき、古い時代には治療と称する加持祈祷のたぐいはどこにでも見られる。中国では「医」の旧字である「醫」は、もともとは矢を放って病魔を払うことをかたどったもので、「酉」に代えて「巫」を配した異字もある。病気が太古には魔物のなせるわざと理解されていたということを示してもいるだろう。
  けれども、かなり古い時代から、医知(近代のメディカル・サイエンスと区別して、医に関する知一般をこう呼べば)はみずからを迷信のたぐいとは区別していた。司馬遷の『史記』に語られた伝説の名医扁鵲は「巫を信じて医を信じない」者を治しようのない者のひとつに数えていたという。また、西洋医学の嚆矢とされるヒポクラテスは、「神を隠れ蓑に使って、処置に窮したのをごまかしている」祈祷師たちを批判するだけでなく、「病気や死の原因となるものを同一の原理へとしぼろうとする」ことを「空虚な仮定」と断じ、ソフィスト*たちの思弁的解釈をも批判していた。薬草の処方を中心にした中国の医療と、病気には自然的な原因があるとみなし、それに対処することで治療するギリシアの医療とは、その方法は違うが、経験をもとにして合理的な治療を引き出そうとする医の現実的姿勢には共通するところがある。
  それは、医知には病人が実際に治らなければ話しにならないという現実的な試練があるからだろう。医知はそのような試練をとおした長い経験知の蓄積をべースにしながら、みずからへの信頼を培ってきた。(中略)
  中国では、神農や黄帝といった伝説の王たちが医の創始者だったとされている。ギリシアでは、アポロンの子で半神半人のアスクレピオスが医神と崇められていた。ヒポクラテスも「アスクレピオスの徒」を名乗るコス島の医師団に属していた。今でも医学部の学生が最初に学ぶといわれる彼の掲げた有名な「誓い」も、アスクレピオスとその娘たちに捧げられている。(中略)そのヒポクラテスが、アスクレピオス神殿に集まる病人たちに、この医神を光背に背負って治療したのである。この信仰と合理性との交錯はいったい何なのだろう。
(出典 西谷修「医における知と信」より)
(注)*ソフィスト:古代ギリシアの俗に「詭弁家」と言われた、プロタゴラスやゴルギアスに代表される、雄弁術などを青年達に教えた人々。
ア、ヒポクラテスのアスクレピオスに対する「信」は、その権威を借りて加持祈祷をするためのものではなく、医師がみずからを全能の立場におくことを制し、病人と医師の関係を適切に設定するための担保なのだ。
イ、「命を預ける」と言うように、人は自分の身を医師にゆだねてその処方を受け入れる。そこには「任せる」と言う姿勢で証される信頼がある。
ウ、病が治るというのはありがたいことである。ひとの病を治す力や術をもつ人は、いきおい特別の能力をもつ人としてありがたがられ、ある種の権威がついてくる。
エ、ヒポクラテスは、神がかりとみなされていた「神聖病」(癲癇(てんかん)のこと)も含めて、あらゆる病気を「神業ではなく自然的原因をもっている」として、病気の知的理解に努め、経験から引き出される合理的な治療を追求したことで知られる。
オ、病を癒すという「医」の業が、常人のよくなしえない特別の営みであり、その業を施す者にとっても、人間の通常の営みを超えた業であるから、人を超えたオーソリテイーの加護が必要である。

選択肢(タッチして解答 選択肢の表示順はランダムで変更されます)

1.A:ア B:エ

3.A:ウ B:ア

5.A:オ B:イ

4.A:エ B:オ

2.A:イ B:ウ

平成20年第59問解説 平成20年第60問 平成20年第58問

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