行政書士過去問ドリル

行政書士試験 平成23年59問

一般知識 文章理解


問59 次のア~オの記述のうち、本文の文章の趣旨に合っていないものの組合せはどれか。

やまとことばには、もう一つの大きな特徴がある。
 いささか説明がむずかしいのだが、わたしが勝手に命名してきた「働き分類」という考え方がある。つぎのようなことだ。
 たとえば美しくサクラの花が咲いている。その花におおわれた岬の鼻を、船が廻って行く。のどかな午後、うっとりと見ているわたしの鼻さきに蝶がひらひらと舞う。
 この花も岬の先端も、顔の鼻も、物体として見ると、みんな別物である。ところがすべてを日本人がハナと名づけたところを見ると、三者とも、どうやら同じ物だと考えたらしい。
 どれも先へ出るもので、その先へ出るという動作、においては三者とも別物ではない。はたして三者は別物なのか同じ物なのか。
 そこをわたしはこう考える。
 つまり「物」として分類すると別々のカテゴリー(範疇)のものとなる三者も、動作やその結果としての状態、すなわち物の「働き」から分類すると同じカテゴリーに属するのである。
 しかるに、現代人はたった一つ「物分類」しかもっていないから、花と先端と鼻とはまったく別物で、たまたま気がつくと発音が同じだぐらいにしか思っていない。
 そして、「物分類」とまったく対立する「働き分類」とでもよぷべき分類法がありえることに、ほとんどの人が気づいていない。
 しかしわたしの見るところ、日本人本来の分類法――万物を秩序立て区分けすることによって知識の中に所有していく方法は、じつに「働き分類」らしいのである。
 カゲということばで日本人が一括する物は、光であると同時に光のささない場所である。日なたと日かげが同じ物だなどと、物からいえば誰も信じられないのに、それを同じと考える方にわが身を合わせて理解してみなければならない。すると、光が明滅すること、明滅する光が及ぶところを、カゲとして指定したのだということがわかる。
 また、よい香りとはなやかな色どりとは、まったく別物だと、百人が百人考えて疑わない。嗅覚と視覚の違いもある、と。
 しかし日本語では、両方ともニオイという。つまり一つの範囲に入れられるものが香りと色どりだというのである。
 そんな馬鹿な、といわないで考えてみると、ただよい寄ってくるものが、ニオイらしい。美しい色彩は、じっと沈んでいないで、迫力をもって浮き立ってくる。「匂うような美人」とうではないか。
 こうした働きは固定した物体ではないから、物質本位の思考にはなじまない。まさに物体を物体として徹底的に区別し区別していって物の個別性を認め、その上で分類し、名前をあたえてゆくという、近代科学主義とは正反対の考えが、この「働き分類」による区別である。顕微鏡まで使って分析した個別性によって物の存在を確定する方法に対して、こちらは物をいったん形から解放し、属性をたぐりよせ集めることによって、ハナとかカゲとかと一くくりにしてゆく方法である。
 考えてみれば、物は分析されつくすことによって、それぞれ孤独になった。その孤独を救うために、もう一度日本古来の考え方で親戚を作ってみてはどうか。
ア、「物分類」は現在では漢字表記と結びつき、そのものの特殊性を示すことで、働き分類の意識の希簿化につながっている。
イ、「働き」の「ハナ」は本体から離れて外へ出ている状態を認識した語ということで、花、鼻という個々の共通性を説明できる。
ウ、「働き」によって、「カゲ」を考えたとき、「火影」、「日影」から、影形(かげかたち)のような表現も成立し、光のもとである「月影」や「陰」も成立する。
エ、「物分類」は「ニオイ」のように日本人の感受性における見方の共通性を理解する方法である。
オ、「働き」の特つ基本的な特徴は、日本人が漢字を使用することを可能にしたことであり、「物分類」の基礎となっている。

選択肢(タッチして解答 選択肢の表示順はランダムで変更されます)

4.ウ・エ

5.エ・オ

1.ア・ウ

3.イ・オ

2.イ・エ

平成23年第59問解説 平成23年第60問 平成23年第58問

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