行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成30年10問

行政総論

○:5,行政処分の違法を理由として国家賠償を請求するためには、その取消しまたは無効確認の確定判決をあらかじめ得ておく必要はない。


問10

行政処分の無効と取消しに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.行政処分が無効である場合、当該処分はその成立当初から効力を認められないから、当該処分に対する取消訴訟を提起することはできない。

☓:2,行政処分が無効である場合、行政不服審査法が定める審査請求期間にかかわらず、当該行政処分の審査請求をすることができる。

☓:3,行政処分の職権取消しは、当該処分に対する相手方等の信頼を保護する見地から、取消訴訟の出訴期間内に行わなければならない。

☓:4,行政処分が職権により取り消された場合、取消しの対象となった処分の効力は消滅するので、これを争う相手方は、当該処分の有効確認の訴えを提起しなければならない。

○:5,行政処分の違法を理由として国家賠償を請求するためには、その取消しまたは無効確認の確定判決をあらかじめ得ておく必要はない。

解説

1.誤り
行政処分が無効である場合、当該処分は効力を有せず、公定力や不可争力が生じない。取消訴訟における違法性の中には無効の場合も含まれるため、重大かつ明白な違法性を持つ無効な行政処分の取消訴訟を提起することはできる。
2.誤り
行政処分が無効である場合、行政不服審査法においては、処分についての審査請求と同様の審査請求期間となる(行政不服審査法18条1項~2項)。
なお、審査請求前置主義が個別法で規定されている場合であったとしても、無効なものについてはそもそも最初から効力がないはずであり、それを確認する訴訟を提起するには、審査請求をしないで直ちに無効等確認訴訟を提起することもできる。
3.誤り
行政処分の職権取消しは、当該行政処分が違法ないし不当になされたことを理由にその効力を処分がなされた時に遡ってなかったことにする行為である。
行政行為の取消しの実質的根拠は、適法性の回復あるいは合目的性の回復にあり、処分行政庁が職権により取り消す場合には、法律の根拠は必要ではない。ただし、授益的行政行為の場合には、職権取消しが利益衡量原則により制限されることがある。
「行政処分が違法または不当であれば、それが、たとえ、当然無効と認められず、また、すでに法定の不服申立期間の徒過により争訟手続によってその効力を争い得なくなったものであっても、処分をした行政庁その他正当な権限を有する行政庁においては、自らその違法または不当を認めて、処分の取消によって生ずる不利益と、取消をしないことによってかかる処分に基づきすでに生じた効果をそのまま維持することの不利益とを比較考量し、しかも該処分を放置することが公共の福祉の要請に照らし著しく不当であると認められるときに限り、これを取り消すことができる」(最判昭和43年11月7日)
4.誤り
行政処分が職権により取り消された場合、取消しの対象となった処分の効力は消滅する。処分がなされた当初に遡ってなかったことになるので、処分の有効確認の訴えを提起する必要はない。
なお、有効確認の訴えとは、行政行為が成立要件のすべてを欠き、外見上の行政行為に相当するものが全く存在しない(行政行為の不存在)場合、処分の不存在確認を求めるものである。行政事件訴訟法3条4項では、「無効確認等確認の訴えとは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。」としており、略せずにいえば、「存在確認」「不存在確認」「無効確認」「有効確認」4つの形態があることになる。もっとも、実際には無効確認以外が争われることは稀である。
5.正しい
「行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ右行政処分につき取消又は無効確認の判決を得なければならないものではない」(最判昭和36年4月21日)。


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