解答 行政書士試験 平成30年24問
地方自治法
○:5,都道府県の自治事務と法定受託事務は、いずれも事務の監査請求および住民監査請求の対象となることがある。
○:5,都道府県の自治事務と法定受託事務は、いずれも事務の監査請求および住民監査請求の対象となることがある。
問24
地方自治法の定める都道府県の事務に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.都道府県は、自治事務については条例を制定することができるが、法定受託事務については条例を制定することができない。
☓:2,都道府県の事務は、自治事務、法定受託事務および機関委任事務の3種類に分類される。
☓:3,都道府県の自治事務については、地方自治法上、どのような事務がこれに該当するかについて、例示列挙されている。
☓:4,都道府県の法定受託事務は、国が本来果たすべき役割に係るものであるから、法定受託事務に関する賠償責任は国にあり、都道府県に賠償責任が生じることはないものとされている。
○:5,都道府県の自治事務と法定受託事務は、いずれも事務の監査請求および住民監査請求の対象となることがある。
解説
1.誤り
普通地方公共団体である都道府県は、その事務に関して法令に違反しない限りにおいて条例を制定できる。法定受託事務と自治事務の区別はなされていないため、都道府県の議会は法定受託事務についても条例を制定できる(地方自治法2条2項、地方自治法14条1項)。
2.誤り
普通地方公共団体である都道府県は、地域における事務(自治事務)及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるもの(法定受託事務)を処理する(地方自治法2条2項、8項、9項)。地方分権一括法に基づく地方地自法の改正(平成12年施行)により、事務を現在の自治事務と法定受託事務に再編、機関委任事務は廃止された。
3.誤り
「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう(地方自治法2条8項)。この定義は、控除的定義であり、実質的な内容に触れてないが、それだけ自治事務の範囲が広いことを意味している。なお、地方自治法上、どのような事務がこれに該当するか、例示列挙されてはいない。
4.誤り
法定受託事務には、第1号法定受託事務と第2号法定受託事務がある。
第1号法定受託事務は、法令により国が本来果たすべき役割に係る事務の一部を都道府県、市町村又は特別区が処理することとされた事務であり(地方自治法2条9項1号)、第2号法定受託事務とは、法令により都道府県が本来果たすべき役割に係る事務の一部を市町村又は特別区が処理することとされた事務である(地方自治法2条9項2号)。法定受託事務に関する賠償責任は、国、都道府県、市町村又は特別区が責任を負うべきものであり、都道府県に賠償責任が生じることはないとはいえない。
なお、国家賠償法3条1項では、国家賠償請求は、公務員又は営造物に関し、選任、監督、管理者及び費用負担者のいずれもがその賠償責任を負うと定めている。
5.正しい
民主的コントロールの一環として、住民が一定事項について、直接地方公共団体の機関に請求することができる直接請求制度には、住民による監査の請求がある。
監査の請求は、有権者の50分の1の連署を要する事務監査請求(地方自治法75条以下)と、一人でもできる住民監査請求(地方自治法242条以下)があり、いずれも監査委員へ請求することができる。
監査の請求を受けた監査委員は、自治事務にあっては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務として政令で定めるもの、法定受託事務にあっては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により監査委員の監査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除き、事務の執行の監査ができる(地方自治法199条2項)。
したがって、都道府県の自治事務と法定受託事務は、一般行政事務の監査請求や住民監査請求の対象となることがある。
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