行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成26年26問

行政手続法

○:3.正当な理由なく転入届を所定の期間内にしなかった者に科される過料は、行政上の秩序罰であり、非訟事件手続法の手続により裁判所により科される。


問26

市町村に転入した者は市町村長に届出なければならないこととされているが、この転入の届出について、妥当な記述はどれか。争いがあれば、最高裁判所の判例による。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.転入届については、届出書の提出により届出がなされたものと扱われ、市町村長は、居住の実態がないといった理由で、その受理を拒否することは許されない。

☓:2.転入届を受理せずに住民票を作成しないことは、事実上の取扱いに過ぎず、行政処分には該当しないから、届出をした者は、これを処分取消訴訟により争うことはできない。

○:3.正当な理由なく転入届を所定の期間内にしなかった者に科される過料は、行政上の秩序罰であり、非訟事件手続法の手続により裁判所により科される。

☓:4.転入により、地域の秩序が破壊され住民の安全が害されるような特別の事情がある場合には、市町村長は、緊急の措置として、転入届の受理を拒否することができる。

☓:5.転入届に基づき作成された住民票が市町村長により職権で消除された場合、消除の効力を停止しても、消除された住民票が復活するわけではないから、消除をうけた者には、その効力の停止を申し立てる利益はない。

解説

1.誤り。
大阪市の公園を住所とした転入届を受理しなかった区の処分は違法としてホームレスの男性が争ったが、「都市公園法に違反して、都市公園内に不法に設置されたキャンプ用テントを起居の場所とし、公園施設である水道設備等を利用して日常生活を営んでいることなど原審の適法に確定した事実関係の下においては、社会通念上、上記テントの所在地が客観的に生活の本拠としての実体を具備しているものと見ることはできない。」(最判平成20年10月3日)として、この訴えを棄却した。
2.誤り。
住民基本台帳法による転入届の不受理は、行政手続法上の処分に一応は該当すると解されている。
よって、転入届の不受理を処分取消訴訟により争うことはできる。
したがって、本肢は、転入届を受理せずに住民票を作成しないことは、事実上の取り扱いに過ぎず、行政処分には該当しないから、届出をした者は、これを処分取消訴訟により争うことはできないとしている点で、誤っている。
3.正しい。
住民基本台帳法に基づいて同法に定める届出義務違反に対して課される過料は、行政上の秩序罰と解されており、非訟事件手続法に基づいて裁判所により科される(非訟事件手続法119条以下-第五編 過料事件以下)。
秩序罰とは、犯罪に至らない、軽微な行政上の義務違反行為に制裁として科す過料をいう。
なお、地方公共団体の条例や規則に違反した場合の過料は、地方公共団体の長が行政処分として科す。
4.誤り。
最判平15.6.26は、市町村長は、「転入届があった場合には、その者に新たに当該市町村の区域内に住居を定めた事実があれば、法定の届出事項に係る事由以外の事由を理由として転入届を受理しないことは許されず、住民票を作成しなければならないというべきである。」とし、「地域の秩序が破壊され住民の生命や身体の安全が害される危険性が高度に認められるような特別の事情がある場合」には、転入届の受理を拒否することはできないとしている。
したがって、本肢は、地域の秩序が破壊され住民の安全が害されるような特別な事情がある場合に、市町村長は、緊急の措置として、転入届の受理を拒否することができるとしている点で、誤っている。
もしこれを認めたら、全ての市町村長に拒否された場合、転入届が出来ないことになってしまう。
5.誤り。
執行停止決定には、取消判決と同様に、原状回復機能があるとされる。
したがって、本肢は、消除された住民票が復活するわけではないとしている点で、誤っている。


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