行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成26年37問

商法会社法

○:4.ウ・エ


問37 株式会社の設立における出資等に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア 株主となる者が設立時発行株式と引換えに払込み、または給付した財産の額は、その全額を資本金に計上することは要せず、その額の2分の1を超えない額を資本準備金として計上することができる。
イ 発起人は、会社の成立後は、錯誤を理由として設立時発行株式の引受けの無効を主張し、または詐欺もしくは強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。
ウ 設立時発行株式を引き受けた発起人が出資の履行をしない場合には、当該発起人は当然に設立時発行株式の株主となる権利を失う。
エ 発起人または設立時募集株式の引受人が払い込む金銭の額および給付する財産の額の合計が、定款に定められた設立に際して出資される財産の価額またはその最低額に満たない場合には、発起人および設立時取締役は、連帯して、その不足額を払い込む義務を負う。
オ 設立時発行株式の総額は、設立しようとする会社が公開会社でない場合を除いて、発行可能株式総数の4分の1を下ることはできない。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.ア・イ

☓:2.ア・オ

☓:3.イ・ウ

○:4.ウ・エ

☓:5.エ・オ

解説

ア.妥当である。
会社法445条1項ないし3項は、「株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする(会社法445条1項)。この払込み又は給付に係る額の2分の1を超えない額は、資本金として計上しないことができる(同条2項)が、資本金として計上しないこととした額は資本準備金として計上しなければならない(同条3項)。」と規定している。
イ.妥当である。
会社法51条2項は、「発起人は、株式会社の成立後は、錯誤を理由として設立時発行株式の引受けの無効を主張し、又は詐欺若しくは強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。」と規定している。
ウ.妥当でない。
会社法36条1項、3項は、「発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、当該出資の履行をしていない発起人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。」「第一項の規定による通知を受けた発起人は、同項に規定する期日までに出資の履行をしないときは、当該出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利を失う。」と規定している。
このように、会社法は、設立時発行株式を引き受けた発起人との関係では、当該発起人が出資の履行をしない場合でも当然に株主となる権利を失うこととはしておらず、まず履行の通知をしなければならない旨を定めている(失権手続)。
したがって、本肢は、当然に設立時発行株式の株主となる権利を失うとしている点で、妥当ではない。
なお、上記通知は、1項に規定する期日の2週間前までにしなければならない(同法同条2項)。
エ.妥当でない。
株式会社の設立においては、定款において設立に際して出資される金銭その他の財産の価額またはその最低額を定めなければならない(会社法27条4号)。
もっとも、現実に払い込まれた金銭の額及び給付された財産の額の合計が、前記定款の額に満たない場合であっても、発起人及び設立時取締役が連帯してその不足額を払い込む義務を負う規定は会社法上存在しない。
したがって、本肢は、発起人及び設立時取締役に不足額払い込みの義務が生ずるとしている点で、妥当ではない。
なお、上記の場合、設立手続に重大な瑕疵であるとして学説上は設立の無効原因となると解されている。
オ.妥当である。
会社法37条3項は、「設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の4分の1を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。」と規定している。


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