行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成21年10問

行政総論

○:4.強制徴収手続は、租税債務の不履行のみならず、法律の定めがある場合には、その他の金銭債権の徴収についても実施される。


問10

行政強制に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.法律の委任による条例に基づき行政庁により命ぜられた行為については、行政代執行法は適用されない。

☓:2.義務の不履行があった場合、直接に義務者の身体や財産に実力を加えることを即時強制という。

☓:3.執行罰は、制裁的な要素を有するため、同一の義務違反に対して複数回にわたり処することはできない。

○:4.強制徴収手続は、租税債務の不履行のみならず、法律の定めがある場合には、その他の金銭債権の徴収についても実施される。

☓:5.行政上の即時強制については、行政代執行法にその手続等に関する通則的な規定が置かれている。

解説

1.誤り。
行政代執行法2条に言う「法律」には、法律の委任に基く条例が含まれるため、行政代執行法が適用される。
行政代執行法2条
法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によってその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。
2.誤り。
義務の不履行があった場合、直接に義務者の身体や財産に実力を加えるのは直接強制である。例えば、成田新法における空港規制区域内における暴力主義的破壊活動等に使用される工作物などに直接強制が認められている。もっとも、直接強制は、人権侵害の程度が強いこともあり、現行法において、認められている規定は少ない。
なお、即時強制とは、義務の不履行を前提とせず、目前急迫の障害を取り除くために、直接国民の身体又は財産に実力を加え、必要な状態を実現することである。このように、義務の不履行を前提とするかしないかは、直接強制と大きく異なるところである。
3.誤り。
執行罰とは非代替的作為義務や不作為義務について、義務者が怠る場合に、行政庁が、過料を科することを通告して、義務者に心理的圧迫を加える方法により、間接的に将来に向かって義務の履行を確保するという強制執行をいう。執行罰は、制裁を目的とするものではなく、あくまでも将来に向かって義務の履行を確保する手段であるため、現実に義務が履行されるまでは繰り返し課すことができる。
なお、現在実際に執行罰を規定しているのは砂防法36条のみである。
4.正しい。
強制徴収とは、国や地方公共団体が有する金銭債権について、その履行がされない場合にその履行がされた状態を実現する強制手段であり、租税債務の不履行に限られるものではない。例えば、代執行に要した費用などでも実施される(行政代執行法第6条)。
なお、強制徴収におけるその具体的な手続きについては、個別の法律内に「国税滞納処分の例による」と定めていることが多く、国税徴収法が事実上、一般法のように機能しているが、あくまで個別の法律内にその旨の規定があってはじめて国税徴収法が適用されるものであり、現行法上、強制徴収の一般法は存在しないことに注意されたい。
5.誤り。
行政代執行法は、代執行についてを定めたものであって、即時強制についての規定はおかれていない。
なお、即時強制の通則を定めた法律は存在せず、個別の法律で定められている。例えば、警察官が泥酔者等を保護する場合についての警察官職務執行法第3条1項、消防官による破壊消防をする場合についての消防法第29条などがある。


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