行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成21年51問

一般知識

○:4.ウ・エ


問51 日本の公的介護保険制度に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア、65歳以上の被保険者が負担することとされている保険料額は、市町村を基本とする保険者ごとに異なっているが、同じ地域に住む被保険者が負担する保険料は一律とされている。
イ、介護保険によるサービスを利用する場合には、あらかじめ要介護認定を受ける必要があり、要介護、要支援、自立のいずれかに認定されるが、介護予防給付を受けることができるのは、自立または要支援と認定された者に限られる。
ウ、介護保険によるサービスを利用する際には、原則として利用料の1割を自己負担すれば、あとの9割が保険給付によってまかなわれることとされているが、その利用には要介護度ごとに限度額が設けられている。
エ、介護保険制度の導入により、民間事業者が参入することとなったが、民間事業者の監督業務は、基本的には、広域性の観点から都道府県が実施することとされている。
オ、介護保険のサービスには、居宅サービスと施設サービスとがあるが、保険制度の導入以降、居宅サービスよりは施設サービスの利用割合を高くすることか目指されており、施設整備が急速に進んでいる。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.ア・イ

☓:2.ア・エ

☓:3.イ・オ

○:4.ウ・エ

☓:5.ウ・オ

解説

ア.妥当でない。
65歳以上の被保険者(第1号被保険者)が負担することとされている保険料額は、3年に1度、地方自治体によって策定される介護保険事業計画における介護サービスの供給量等に基づき、保険者(原則として市区町村)ごとに基準の保険料が設定され、被保険者の所得状況等に応じて、課せられる(介護保険法第117条、118条)。
したがって、市町村によって保険料額が異なる点は正しいが、同じ地域でも保険料額は所得によって異なるため、一律となっているわけではない。
イ.妥当でない。
介護保険制度は、平成12年に開始されたが、当初の想定を超えて利用者が増加したため、介護費用の大幅増を抑制するべく予防重視型の制度への見直しがなされ(平成17年改正)、その象徴ともいえるのが、介護予防給付(介護予防訪問介護や介護予防福祉用具貸与など)のサービスである。
介護保険によるサービスを利用する場合には、あらかじめ介護認定審査会による要介護認定を受ける必要があり、そこで要介護(5段階)、要支援(2段階)、自立(非該当)のいずれかに認定されることになるが、介護予防給付を受けることができるのは、要支援と認定された者である。
したがって、本肢は「自立または要支援」としているので誤りである。
なお、自立(非該当)に認定された場合、介護予防給付は受けられないが、生活機能評価を受けて「要支援・要介護になるおそれのある」と認められれば「特定高齢者」として、市区町村の介護予防プログラムの提供を受けることは可能である。
ウ.妥当である。
介護保険によるサービスを利用する際には、原則として利用料の1割を自己負担すれば、あとの9割が保険給付によってまかなわれることとされているが(介護保険法第41条4項等)、要介護は5段階に区分けされており、その利用には要介護度ごとに限度額が設けられている。
なお、限度額を超えると原則として全額自己負担になる。
エ.妥当である。
介護保険制度の導入により、民間事業者が参入することとなり、保険者は、原則として市町村であるが(介護保険法第3条1項)、民間事業者の監督業務は、基本的には、広域性の観点から都道府県が事業所単位で実施することとされている(介護保険法第76条の2、77条等)。
もっとも、いわゆるコムスン不正問題事件を受けて、平成20年改正で国と自治体に本社等への立ち入り調査権を認めるなどの規制強化がされており、国にも一定の権限が認められている。
オ.妥当でない。
施設サービスの中核となる地域包括支援センター設置が定められたのは、介護保険法の平成18年改正によってである。
また、地域包括支援センター設置は、居宅サービスより施設サービスの利用割合を高くすることを目指すという趣旨ではなく、予防重視型の制度への見直しの一環として、それらの相談・後方支援するために設置されたものである。


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