解答 行政書士試験 平成22年15問
行政不服審査法
○:4.不作為に関する異議申立てが適法になされた場合、不作為庁は、一定の期間内に、申請に対する何らかの行為をするかまたは書面で不作為の理由を示さなければならない。
○:4.不作為に関する異議申立てが適法になされた場合、不作為庁は、一定の期間内に、申請に対する何らかの行為をするかまたは書面で不作為の理由を示さなければならない。
問15
行政不服審査法における手続の終了に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.行政不服審査制度には権利保護機能の他に行政統治機能があるため、審査庁の同意がなければ、審査請求人は審査請求を取り下げることができない。
☓:2.事実行為に関する審査請求を認容する場合、審査庁は違法又は不当な当該事実行為を自ら撤廃することができる。
☓:3.上級行政庁としての審査庁は、処分庁の処分を変更する旨の裁決をすることができず、処分庁の処分を取り消した上で、処分庁に当該処分の変更を命じなければならない。
○:4.不作為に関する異議申立てが適法になされた場合、不作為庁は、一定の期間内に、申請に対する何らかの行為をするかまたは書面で不作為の理由を示さなければならない。
☓:5.行政不服審査法には、それに基づく裁決について、行政事件訴訟法が定める取消判決の拘束力に相当する規定は設けられていない。
解説
1.誤り。
本肢前半の行政不服審査制度に「行政統治機能」(行政権をまとめおさめる機能)があるという点については、行政不服審査法は「行政の適正な運営を確保」を目的の一つとしているから正しい(行政不服審査法第1条)。
しかし、審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができるとされており(行政不服審査法第39条)、審査庁の同意がなくとも、審査請求人は審査請求を取り下げることができるため、後半は誤っている。
なお、争訟手続の開始、その範囲の特定及びその終了については、当事者の自律的な判断に委ねられるという原則(逆に言えば職権で審理が開始されたり、取下げに同意等を必要としたりしない)を処分権主義という。
2.誤り。
事実行為についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、処分庁に対し当該事実行為の全部又は一部を撤廃すべきことを命ずるとともに、裁決で、その旨を宣言する(行政不服審査法第40条)。
したがって、 審査庁は違法又は不当な当該事実行為を自ら撤廃することはできない。
例えば、行政庁に預けた書類の返却を求めて審査請求をしていて、それが認容された場合、審査庁が当該書類の返却するのではなく、審査庁が処分庁に返却を命じて処分庁から審査請求人に返却することになる。
3.誤り。
審査庁が処分庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、裁決で当該処分を変更し、又は処分庁に対し当該事実行為を変更すべきことを命ずるとともに裁決でその旨を宣言することもできる。ただし、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実行為を変更すべきことを命ずることはできない(行政不服審査法第40条5項)。
したがって、上級行政庁としての審査庁は、処分庁の処分を変更する旨の裁決をすることができる。
なお、同規定は、上級行政庁に一般指揮監督権があることを考慮して、審査庁が上級行政庁である場合に、変更する裁決を認めたものであり、上級行政庁以外の行政庁が審査庁である場合は、処分や事実行為を変更する裁決はできない。
4.正しい。
不適法により却下する場合を除き、不作為庁は、不作為についての異議申立てがあった日の翌日から起算して20日以内に、申請に対するなんらかの行為をするか、又は書面で不作為の理由を示さなければならない(行政不服審査法第50条2項)。
5.誤り。
行政不服審査法第43条1項は「裁決は、関係行政庁を拘束する。」としており、同2項では「申請に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請を却下し若しくは棄却した処分が裁決で取り消されたときは、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。」としている。
したがって、取消判決の拘束力に相当する規定が設けられている。
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