行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成22年31問

民法債権

○:5.私は、AがBから400万円の貸付を受けるにあたり、Aから依頼されてCと共に保証人となりましたが、その際、私およびCは、Aの債務の全額について責任を負うものとする特約を結びました。このたび、私はBから保証債務の履行を求められて400万円全額を弁済しましたが、私は、Cに対して200万円の求償を請求することが可能でしょうか。


問31

保証に関する1~5の「相談」のうち、民法の規定および判例に照らし、「可能です」と回答しうるものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.私は、AがBとの間に締結した土地の売買契約につき、売主であるAの土地引渡等の債務につき保証人となりましたが、このたびBがAの債務不履行を理由として売買契約を解除しました。Bは、私に対して、Aが受領した代金の返還について保証債務を履行せよと主張しています。私が保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。

☓:2.私は、AがBから金銭の貸付を受けるにあたり、Aに頼まれて物上保証人となることにし、Bのために私の所有する不動産に抵当権を設定しました。このたびAの債務の期限が到来しましたが、最近資金繰りに窮しているAには債務を履行する様子がみられず、抵当権が実行されるのはほぼ確実です。私はAに資力があるうちにあらかじめ求償権を行使しておきたいのですが、これは可能でしょうか。

☓:3.私の経営する会社甲は、AがBと新たに取引関係を結ぶにあたり、取引開始時から3ヶ月間の取引に関してAがBに対して負う一切の債務を保証することとし、契約書を作成しましたが、特に極度額を定めていませんでした。このたび、この期間内のA・B間の取引によって、私が想定していた以上の債務をAが負うことになり、Bが甲に対して保証債務の履行を求めてきました。甲が保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。

☓:4.私は、AがB所有のアパートを賃借するにあたりAの保証人となりました。このたびA・B間の契約がAの賃料不払いを理由として解除されたところ、Bは、Aの滞納した賃料だけでなく、Aが立ち退くまでの間に生じた損害の賠償についても保証債務の履行をせよと主張しています。私は保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。

○:5.私は、AがBから400万円の貸付を受けるにあたり、Aから依頼されてCと共に保証人となりましたが、その際、私およびCは、Aの債務の全額について責任を負うものとする特約を結びました。このたび、私はBから保証債務の履行を求められて400万円全額を弁済しましたが、私は、Cに対して200万円の求償を請求することが可能でしょうか。

解説

1.「可能です」と回答しない。
「保証人は、債務不履行により売主が買主に対し負担する損害賠償義務についてはもちろん、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責に任ずるものと認めるのを相当とする。」(最大判昭和40年6月30日)
したがって、「あなたが保証債務の履行を拒むことは原則としてできない。」と回答することになる。
2.「可能です」と回答しない。
「債務者の委託を受けてその者の債務を担保するため抵当権を設定した者(物上保証人)は、被担保債権の弁済期が到来したとしても、債務者に対してあらかじめ求償権を行使することはできないと解する」(最判平成2年12月18日)
したがって、「あなたは、あらかじめ求償権を行使することはできない。」と回答することになる。
なお、通常の保証債務では、本肢のように主たる債務者の委託を受けて保証した場合で、一定の事情があるときは、主たる債務者に対してあらかじめ求償権を行使することができる(民法第460条)。
3.「可能です」と回答しない。
平成16年の民法改正により、貸金等根保証契約の規定が追加されており、個人の貸金等における極度額を決めない根保証契約は、効力が生じないことになったが(民法465条の2第2項)、当該規定は、法人には適用されず、法人においては、保証すべき債務極度額及び期間の特定をしない包括的な根保証契約も認められている(最判昭和33年6月19日)。
したがって、「あなたが保証債務の履行を拒むことは原則としてできない。」と回答することになる。
4.「可能です」と回答しない。
保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他債務に従たるすべてのもの包含するため(民法第447条)、賃料の不払いによって賃貸借契約が解除された場合、賃借人の保証人は、賃借人が目的物を返還しない間に賃貸人に与えた損害も保証する責任がある(大判昭和13年1月31日)。
したがって、「あなたが保証債務の履行を拒むことは原則としてできない。」と回答することになる。
5.「可能です」と回答しうる。
保証人が2人以上いる連帯のない共同保証では、各保証人は債権者に対して均等に分割された保証債務の部分についてのみ債務を負担するという分別の利益が認められる(456条・427条)。
分別の利益は、特約によって排除することが可能であり(各保証人が債権者に対して債務の全額について責任を負うという特約をつける)、その特約がついたものを保証連帯という。
保証連帯では、催告の抗弁権や検索の抗弁権が認められるが、分別の利益のない点で連帯保証と共通し、また、連帯保証と同様に、保証人相互間の内部関係では、各保証人に負担部分が存在し、保証人が自己の負担部分を超えて弁済したときには、超過部分について他の保証人に求償することができる(民法第465条1項、442条)。
本肢は、保証連帯であり、400万円全額を弁済した相談者は、Cに対して200万円の求償を請求することができる。
したがって、「可能です」と回答することになる。
なお、連帯のない共同保証では、分別の利益が認められるため、債権者から全額の履行を求められても原則的にはそれに応じて全額弁済する必要はないが、全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときには、超過部分について他の保証人に求償することができる(民法第465条2項、462条)。


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