解答 行政書士試験 平成22年45問
民法
問45 Aは、Bから金銭を借り受けたが、その際、A所有の甲土地に抵当権が設定されて、その旨の登記が経由され、また、Cが連帯保証人となった。その後、CはBに対してAの債務の全部を弁済し、Cの同弁済後に、甲土地はAからDに譲渡された。この場合において、Cは、Dを相手にして、どのような権利の確保のために、どのような手続きを経た上で、どのような権利を行使することができるか。40字程度で記述しなさい。
解答例
Aに対する求償権確保のために、代位の登記を付記した上で、Bの抵当権を行使することができる。(45字)解説
【1】「○○権の確保のために、」について
弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位するが(民法第500条)、判例は、ここに言う「弁済をするについて正当な利益を有する者」に連帯保証人は含まれるとしている(大判昭和9年10月16日)。
また、代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、民法第501条各号の規定に従って、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる(民法第501条)。
そして、このような制度を設けていることについて判例は「弁済による代位の制度は、代位弁済者が債務者に対して取得する求償権を確保するために、法の規定により弁済によつて消滅すべきはずの債権者の債務者に対する債権(以下「原債権」という。)及びその担保権を代位弁済者に移転させ、代位弁済者がその求償権の範囲内で原債権及びその担保権を行使することを認める制度」(最判昭和59年5月29日)としている。
したがって、「Aに対する求償権の確保のために、」となる。
【2】「○○をした上で、」について
民法第501条の本文を受けて、同条1号では「保証人は、あらかじめ先取特権、不動産質権又は抵当権の登記にその代位を付記しなければ、その先取特権、不動産質権又は抵当権の目的である不動産の第三取得者に対して債権者に代位することができない。」としている。
したがって、「代位の登記を付記した上で、」となる。
なお、当該規定における「あらかじめ」とは、第三取得者(本問のD)の取得前(第三者取得後の弁済は、付記登記なしで代位できる。)を指す(最判昭和41年11月18日)。
【3】「○○権を行使することができる。」について
代位弁済者が行使できる民法第501条にいう「担保としてその債権者が有していた一切の権利」とは、本問の場合「抵当権」である。
したがって、「Bの抵当権を行使することができる。」となる。
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