行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成19年11問

行政手続法

○:3.文書閲覧請求権に基づき、当事者が行政庁に資料の閲覧を求めた場合であっても、正当な理由が認められる場合には、行政庁はその閲覧を拒むことができる。


問11

行政手続法の定める聴聞に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.聴聞の主宰者の決定は、不利益処分の名あて人となるべき者(当事者)が聴聞の通知を受けた後、当事者と行政庁との合議によってなされる。

☓:2.不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合には、行政庁は聴聞の通知や掲示を省略することができる。

○:3.文書閲覧請求権に基づき、当事者が行政庁に資料の閲覧を求めた場合であっても、正当な理由が認められる場合には、行政庁はその閲覧を拒むことができる。

☓:4.聴聞の主宰者が聴聞の結果作成される報告書に当事者等の主張に理由があるとの意見を記載した場合には、行政庁が報告書の記載に反して不利益処分をすることは許されない。

☓:5.聴聞を経て行政庁が行った不利益処分について、聴聞に参加した当事者は、当該処分について行政不服審査法による異議申立てをすることができる。

解説

1.誤り。
聴聞の主宰者は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者がなるのであって(行政手続法19条1項)、当事者と行政庁との合議によって決定されるものではない。
2.誤り。
行政庁は、不利益処分の名あて人の所在が判明しない場合、必要事項を記載した書面の通知に代えて、必要事項を事務所の掲示場に2週間掲示することによって通知が到達したものとみなすことができる(行政手続法第15条3項)。
したがって、不利益処分の名あて人の所在が判明しないからといって、聴聞の通知や掲示を省略することができるわけではない。
3.正しい。
当事者等が文書等の閲覧請求権を行使した場合において、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない(行政手続法第18条1項)。
したがって、正当な理由が認められる場合には、行政庁はその閲覧を拒むことができる。
4.誤り。
行政庁は、不利益処分の決定をするときは、行政庁は調書の内容及び報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌して、これをしなければならない(行政手続法第26条)。
ここに言う「十分に参酌して」とは、単に参考にするというだけではなく、調書や報告書の内容を十分に尊重し、これを基礎にして処分をしなければならないということであり、たとえば、調書にない事実を持ち出して、それを根拠に不利益処分をすることはできないと解されている。
他方で、厳格に拘束されて、報告書の意見と異なる内容の処分ができないということまでを意味するものではなく、たとえば、調書に記載されている事実関係と報告書に記載された主宰者の意見に大きな矛盾があるという場合であれば、報告書の意見と異なる処分がなされることも有りうる。
したがって、行政庁が報告書の記載に反して不利益処分をすることは許される。
なお、関連する問題として、平成17年問11肢5にて、逆の問い方で「聴聞調書にない事実に基づく判断は許されない」(=正しい)という趣旨の出題がされている。
5.誤り。
聴聞を経てされた不利益処分については、当事者及び参加人は、原則として行政不服審査法による異議申立てをすることができない(行政手続法27条2項)。
聴聞を経てされた不利益処分というのは、換言すると、口頭による意見陳述等の反論防御権が与えられ、慎重な手続きを経た上でされた不利益処分ということであり、その処分庁自身に不服を言ったところで、同じ結論が出る可能性が高く、実益性に乏しいことから、制限したものである。
なお、制限されているのは、異議申立てだけであり、審査請求はできることに注意されたい。


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