解答 行政書士試験 平成19年36問
商法会社法
○:4.イ・オ
○:4.イ・オ
問36 株式会社の設立に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア、会社の設立に際しては、発起設立または募集設立のいずれの方法による場合も、創立総会を開催しなければならない。
イ、会社の設立に際して現物出資を行うことができるのは発起人のみであるが、財産引受については、発起人以外の者もその相手方となることができる。
ウ、設立時募集株式の引受人が払込みをせず、当該引受人が失権した場合には、発起人は、自らその株式を引き受けなければならない。
エ、設立時取締役は、その選任の日から会社の設立の登記がなされるまでの期間において、発起人に代わって設立中の会社のすべての業務を行う権限を有する。
オ、会社の設立手続が行われたにもかかわらず会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、会社の設立に関して支出した費用を負担する。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.ア・エ
☓:2.ア・オ
☓:3.イ・ウ
○:4.イ・オ
☓:5.ウ・エ
解説
ア.誤り。
会社設立において、創立総会を開催しなければならないのは、募集設立のみで発起設立による場合は、創立総会を開催する必要はない(会社法第65条1項)。
このような違いがあるのは、募集設立では、発起人以外の第三者も株式を引き受けることになり、その安全確保のために、創立総会の開催が必要となるが、発起設立では、発起人が株式のすべてを引き受けるため、創立総会開催の必要性は少ないからである。
イ.正しい。
会社設立時において、現物出資を行うことができる者は、発起人のみである(会社法第34条1項、63条1項参照)。
これに対して、財産引受の相手方については、制限はなく発起人以外の者でもよい。
現物出資とは?
動産や不動産などを金銭に代えて出資として差し出すこと、つまり出資を金銭以外の財産で行うことである。
財産引受とは?
会社設立にあたって、発起人が設立後の会社のために、会社の成立を条件として特定の財産を譲り受ける契約のことである。会社設立後、すぐに事業を開始するべく設備や不動産を準備しておくために行われるもので、開業準備行為に該当する。
ウ.誤り。
設立時募集株式の引受人が払込みをしなかった場合、当該引受人は失権するが(会社法第63条3項)、発起人が自ら株式を引き受ける必要はない。
なお、旧商法では、発起人等の引受担保責任が規定されていたが、現会社法では廃止されている。
エ.誤り。
設立時取締役は、発起人に対する監督機関の役割を担っており、その権限は、設立事項の調査等、一定の行為にすぎず(会社法第46条1項、93条1項)、発起人に代わって設立中の会社のすべての業務を行う権限はない。
オ.正しい。
株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する(会社法第56条)。
本来であれば、会社が不成立に終わった以上は、その構成員全員で義務・責任を負うとともに、残余財産を分配すべきだが、政策的に設立時募集株式の引受人を第三者的に取り扱って、発起人にその全責任を負わせたものである。
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