解答 行政書士試験 平成19年43問
行政事件訴訟法
問43 処分取消訴訟に関する次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
処分取消訴訟を提起しても、そもそも、訴えそれ自体が訴訟要件を満たす適法なものでなければならないことはいうまでもない。しかし、訴えが仮に適法なものであったとしても、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由に取消しを求めることはできないから、そのような違法事由しか主張していない訴えについては、[ア:棄却判決]が下されることになり、結局、原告敗訴ということになる。さらに、処分が違法であっても、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合においては、一定の条件の下、[ア:棄却判決]がなされることがある。このような判決のことを、[イ:事情判決]というが、この場合、当該判決の主文において、当該処分が違法であることを宣言しなければならない。このような違法の宣言は、判決主文において行われることから、その判断には[ウ:既判力]が生ずる。 取消判決がなされると、当該処分の効果は、当然否定されることになるが、その他にも取消判決の効力はいくつか挙げられる。例えば、申請の拒否処分が取り消された場合、当該拒否処分を行った行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。このような効力を[エ:拘束力]という。
1、棄却判決 ,2、公定力 ,3、拘束力 ,4、却下判決 ,5、義務付け判決 ,6、自力執行力 ,7、事情判決 ,8、差止判決 ,9、遡及効 ,10、無効確認判決 ,11、既判力 ,12、確認判決 ,13、中間判決 ,14、不可変更力 ,15、規律力 ,16、違法確認判決 ,17、認容判決 ,18、不可争力 ,19、対世効 ,20、将来効
解説
ア:1(棄却判決)
却下判決と悩むところであろうが、訴えが不適法であるとして請求内容についての判断に立ち入らないのが却下判決である。
そして、空欄[ア]の前には、「訴えが仮に適法なものであったとしても、」とあるため、空欄[ア]には「棄却判決」が入るのが分かる。
イ:7(事情判決)
事情判決とは、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときに請求を棄却する判決である(行政事件訴訟法第31条1項)。
そして、空欄[イ]の前では、このことを説明しているため、空欄[イ]には「事情判決」が入ることが分かる。
ウ:11(既判力)
既判力とは、当事者は後の裁判で同じ事を争うことができず、別の裁判所も前の裁判の判断内容に拘束されるという効力のことで、民事訴訟法114条では「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」としている。
また、事情判決は、主文で違法を宣言しなければならないため(行政事件訴訟法第31条1項後文)、既判力が生ずる。
そして、空欄[ウ]の前後では、このことを説明しているため、空欄[ウ]には「既判力」が入ることが分かる。
エ:3(拘束力)
取消訴訟判決の拘束力の規定として、行政事件訴訟法第32条2項では「申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。」と定めており、つまり、行政庁に判決の趣旨に従い行動させ、同一処分の繰り返しを禁止させる効力のことである。
そして、空欄[エ]の前では、このことを説明しているため、空欄[エ]には「拘束力」が入ることが分かる。
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