解答 行政書士試験 平成23年40問
商法会社法
○:5.剰余金配当請求権は、株主が会社から直接経済的利益を受ける重要な権利であるため、剰余金配当請求権を付与しない旨の定款の定めを置くことは許されない。
○:5.剰余金配当請求権は、株主が会社から直接経済的利益を受ける重要な権利であるため、剰余金配当請求権を付与しない旨の定款の定めを置くことは許されない。
問40
会社法上の公開会社の剰余金の配当に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.剰余金の配当は、確定した計算書類およびこれに準ずる計算書類を基礎に、同一事業年度内に何度でも行うことができる。
☓:2.剰余金の配当について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款に定めることは、株主平等原則に反して許されない。
☓:3.委員会設置会社は、株主総会の承認に代えて、取締役会で剰余金の配当を決定することができる旨の定款の定めを置くことができる。
☓:4.配当される財産は金銭に限定されないが、現物でのみ配当する場合には、株主総会の特別決議が必要である。
○:5.剰余金配当請求権は、株主が会社から直接経済的利益を受ける重要な権利であるため、剰余金配当請求権を付与しない旨の定款の定めを置くことは許されない。
解説
1.正しい。
会社法第453条は「株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる」と規定しているだけで、回数に制限を設けているわけではない。
したがって、確定した計算書類およびこれに準ずる計算書類を基準に(つまり要件を満たせば)、同一事業年度内に何度でも行うことができる。
2.正しい。
会社法第109条1項は「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない」として株主平等の原則を規定している。
他方、会社法第109条2項は「『公開会社でない株式会社』は、一定の権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる」と規定している。
本問は、「公開会社」であることが前提だから、会社法第109条1項の適用となる。
3.正しい。
委員会設置会社は、取締役会の設置が義務付けられている(会社法第327条1項3号)。
会社法第454条5項は「取締役会設置会社は、一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議によって剰余金の配当(配当財産が金銭であるものに限る。以下この項において「中間配当」という。)をすることができる旨を定款で定めることができる。この場合における中間配当についての第一項の規定の適用については、同項中『株主総会』とあるのは、『取締役会』とする」と規定している。
したがって、委員会設置会社は株主総会の承認に代えて、取締役会で剰余金の配当を決定することができる旨の定款を置くことができる。
4.正しい。
会社法第454条4項は「配当財産が金銭以外の財産であるとき」について規定している。これを現物配当という。
会社法309条柱書、同条2項10号は「第454条4項の株主総会(配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して同項1号に規定する金銭分配請求権を与えないこととする場合に限る。)」をするには株主総会の特別決議が必要であるとする。
本肢には限定はないが、肢5に比べ誤っているとはいえない。
5.誤り。
株主の権利には、「剰余金の配当を受ける権利」「残余財産の分配を受ける権利」及び「議決権」がある(会社法第105条1項)。
前者2者は自益権と呼ばれ、後者は共益権と呼ばれている。
会社法第105条2項は「『剰余金の配当を受ける権利』及び『残余財産の分配を受ける権利』の全部を与えない旨の定めは無効」としている。
ところで、本肢は自益権の中の「剰余金の配当を受ける権利」だけを問題としている。
この場合は、残余財産の分配を受ける権利はあると考えられ、その旨の定款を置くことも許される。
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