行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成23年53問

一般知識

○:3.イ・ウ


問53 公害・環境対策に関する次のア~オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。

ア、公害を発生させた事業者が公害防止や被害者救済のための費用を負担すべきであるという原則を「汚染者負担の原則」(PPP)といい、経済協力開発機構(OECD)が採用し、日本もこれに従うことになった。
イ、公害を発生させた事業者に過失がなくても被害者の損害を賠償する責任を負わせる仕組みを「無過失責任制度」というが、日本の法律では導入された例はない。
ウ、生活環境の保全について、経済の健全な発展との調和が図られなければならないという条項を「経済調和条項」といい、かつての公害対策基本法に盛り込まれ、現在の環境基本法でも継承されている。
エ、公害対策で当初から採用されていた「濃度規制」のみでは、排出量が増えれば低濃度の排出であっても汚染物質の総排出量を抑制することはできない。このため、日本では1970年代半ばから、汚染物質の総排出量を一定地域ごとに規制する「総量規制」の方式を併用するようになった。
オ、一定の開発事業を行う前に、環境に与える影響を事前に調査・予測・評価する仕組みが「環境影響評価」であり、1970年代以降、いくつかの自治体が環境影響評価条例を制定し、1990年代に国が環境影響評価法を制定した。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.ア・イ

☓:2.ア・エ

○:3.イ・ウ

☓:4.ウ・オ

☓:5.エ・オ

解説

ア.妥当である。
公害を発生させた事業者が公害防止や被害者救済のための費用を負担すべきであるという原則を「汚染者負担の原則」(PPP)といい、経済協力開発機構(OECD)加盟国間の汚染防止の基本原則として1972年に採用され、日本を含めた世界各国で環境政策における責任分担の考え方の基礎となった。
イ.妥当でない。
本来、公害被害者が加害者たる企業に損害賠償請求をするには、不法行為の成立要件を充足させることが必要であるが、公害の特殊性を考慮すると、原因行為の違法性や原因者の故意又は過失を立証し、因果関係を確定することが非常に困難であることから、民法の過失責任の原則の例外として、事業者に過失がなくても被害者の損害を賠償する責任を負わせる仕組み、すなわち「無過失責任制度」が提唱され、昭和47年に大気汚染防止法及び水質汚濁防止法に導入されている。
したがって、「日本の法律では導入された例はない。」とするのは誤りである。
ウ.妥当でない。
生活環境の保全について、経済の健全な発展との調和が図られなければならないという条項を「経済調和条項」といい、かつての公害対策基本法に盛り込まれていたが、産業優先との批判を受けて、昭和45年のいわゆる公害国会(第64回臨時国会)において、他の公害対策関連法における調和条項とともに削除されている。
したがって、「現在の環境基本法でも継承されている。」としている点は誤りである。
エ.妥当である。
公害対策の規制としては、汚染物質排出の濃度を規制する「濃度規制」と汚染物質排出の総量を一定地域ごとに規制する「総量規制」があり、当初から採用されていた「濃度規制」のみでは、排出量が増えれば低濃度の排出であっても汚染物質の総排出量を抑制することはできないため、1970年代半ばから、「総量規制」の方式を併用するようになった。
オ.妥当である。
環境影響評価とは、大規模開発事業等による環境への影響を事前に調査することによって、予測、評価を行う仕組みのことで、環境アセスメントとも呼ばれる。
昭和51年に川崎市が環境影響評価条例を制定し、その後いくつかの自治体でも制定され、平成9年に国が環境影響評価法を制定された。


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