解答 行政書士試験 平成23年49問
一般知識
○:4.四つ
○:4.四つ
問49 日本銀行に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア、日本銀行は「銀行の銀行」として市中銀行から預託を受け入れ、市中銀行に貸し出しを行う。日本銀行が市中銀行に貸し出す金利を法定利息と呼ぶ。
イ、日本銀行は「政府の銀行」として、国(中央政府)や自治体(地方政府)の税金などの公金の管理をする等、出納経理にかかわる事務をしている。
ウ、日本銀行は「発券銀行」として、日本銀行券を発行する。日本銀行券は法定通貨であり、金(きん)と交換できない不換銀行券である。
エ、1990年代後半からの金融自由化により、日本銀行は「唯一の発券銀行」としての地位を2000年代には失った。そのため、各地で地域通貨が発行されるようになった。
オ、日本銀行は「国内政策の銀行」として、公開市場操作、預金準備率操作などの金融政策を行う。しかし、「円売りドル買い」などの外国為替市場への介入は行わない。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.一つ
☓:2.二つ
☓:3.三つ
○:4.四つ
☓:5.五つ
解説
ア.誤り。
日本銀行は「銀行の銀行」として市中銀行から預託を受け入れ、市中銀行に貸し出しを行うというのは正しいが、日本銀行が市中銀行に貸し出す金利は基準割引率および基準貸付利率(従来「公定歩合」と呼ばれていたもの)と呼ばれる。
なお、法定利息とは、法律の規定に基づいて発生する利息のことで、例えば、当事者間で利息を取ると決めたが利率は決めていない場合、民事法定利率だと年5%(民法第404条)、商事法定利率だと年6%(商法第514条)となる。
イ.誤り。
日本銀行は「政府の銀行」として、国(中央政府)の税金などの公金の管理をする等、出納経理にかかわる事務をしている(日本銀行法第35条)。
しかし、自治体(地方政府)の公金の管理はしてない。
なお、自治体(地方政府)の公金の管理等出納にかかわる事務は、指定金融機関により行われている。
ウ.正しい。
日本銀行は「発券銀行」として、日本銀行券を発行する(日本銀行法第46条1項)。
また、日本銀行券は法定通貨(金銭債務などの弁済手段として法的な強制力を持つ通貨のこと)であり(日本銀行法第46条2項)、金(金本位制度のもとでは金貨)と交換できない不換銀行券である。
なお、正貨との交換が約束された銀行券を兌換(だかん)銀行券という。
エ.誤り。
日本銀行は現在も「唯一の発券銀行」である。
なお、地域通貨とは、ある目的や地域のコミュニティー内などの限定で価値を有するとして、発行され使用される貨幣で、例えば、A商店街のみで使用できる商品券がそれにあたる。
オ.誤り。
日本銀行は「国内政策の銀行」として、公開市場操作(※1)、預金準備率操作(※2)などの金融政策を行う。
また、「円売りドル買い」などの外国為替市場への介入も行う(日本銀行法第40条)。
※1公開市場操作とは、日本銀行はマネーストックや金利を調整するために、日銀が公開市場にて市中銀行から国債や手形などを買い入れることによって民間への通貨供給量を増やしたり(=買いオペレーション=金利が下がる)、逆に国債などを売ることによって通貨供給量を減らしたり(=売りオペレーション=金利が上がる)する金融政策である。
※2預金準備率(支払準備率)操作とは、日銀が市中銀行に無利子で預金させることを義務付けている預金準備金(支払準備金)の預金に対する比率、すなわち預金準備率を上下させることにより、市中銀行の貸出資金量を調節するという金融政策である。
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