行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成23年38問

商法会社法

○:1.株式会社は、合併および会社分割などの一般承継による株式の取得について、定款において、当該会社の承認を要する旨の定めをすることができる。


問38

株式取得に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

○:1.株式会社は、合併および会社分割などの一般承継による株式の取得について、定款において、当該会社の承認を要する旨の定めをすることができる。

☓:2.譲渡制限株式の譲渡を承認するか否かの決定は、定款に別段の定めがない限り、取締役会設置会社では取締役会の決議を要し、それ以外の会社では株主総会の決議を要する。

☓:3.承認を受けないでなされた譲渡制限株式の譲渡は、当該株式会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡の当事者間では有効である。

☓:4.株式会社が子会社以外の特定の株主から自己株式を有償で取得する場合には、取得する株式の数および特定の株主から自己株式を取得することなどについて、株主総会の特別決議を要する。

☓:5.合併後消滅する会社から親会社株式を子会社が承継する場合、子会社は、親会社株式を取得することができるが、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない。

解説

1.妥当でない。
会社法第133条1項は「株式を当該株式を発行した株式会社以外の者から取得した者は、当該株式会社に対し、当該株式に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる」と規定しているが、その例外として「譲渡制限株式」を挙げている(会社法第134条本文)。
しかし、「当該株式取得者が相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者であること」はその例外であり(=原則に戻る)、やはり当該株式取得者は、株主名簿の書換請求等をすることができる(会社法第134条4号)。
したがって、一般承継による株式の取得について、定款において、当該会社の承認を要する旨の定めをすることはできない。
なお、株式会社は、一般承継により当該株式会社の譲渡制限株式を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることはできる(会社法第174条)。
2.妥当である。
株式会社が譲渡制限株式の譲渡の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない(会社法第139条1項本文)。
3.妥当である。
承認を得ないでなされた譲渡制限株式の譲渡が、当該会社に対する関係で効力が生じないのは当然である。そのように解さなければ、譲渡制限株式を定款で規定した意味がない。上記肢1にも述べたように、譲渡制限株式は一定の場合を除いては、株主名簿の書換請求等をすることができない。
しかし、譲渡当事者間については争いがある。判例(最判昭和48年6月15日)は、譲渡当事者間においては有効だとするいわゆる「相対説」を採用している。
なお、この場合、会社は譲渡人を株主として扱わなければならない(最判昭和63年3月15日)。何故なら、株主の権利行使に空白期間を与えることになるからである。
4.妥当である。
会社は自己株式を原則として自由に取得することができる。
自己株式を取得できる場合には様々なものがあるが、本肢は、株式会社が株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得する場合についてである。
この点、株式会社が株主一般との合意により(市場取引や株主全員に譲渡の勧誘する場合)、当該株式会社の株式を有償で取得するには、株主総会の普通決議によって、その必要事項を決定することになる(会社法第156条1項)。
他方、株式会社が特定の株主との合意により、当該株式会社の株式を有償で取得するには、株主総会の特別決議によって、その必要事項を決定することを要する(会社法第156条1項、160条1項、309条2項2号)。
このように特定株主の場合だけ厳格にされているのは、換金困難な株式の売却機会の平等を図ることや、グリーンメイラーからの高値の取得を阻止する等の必要があるためである。
5.妥当である。
会社法第135条1項は「子会社は、その親会社である株式会社の株式を取得してはならない」と規定し、子会社が親会社の株式を取得することは原則として禁止している。
本肢はこの例外として、子会社が親会社の株式を取得できる場合に該当するが(会社法第135条2項2号)、この場合、子会社は、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない(会社法第135条3項)。


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