行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成18年11問

行政法 行政手続法

○:2.聴聞においては、処分の相手方以外の利害関係人にも意見を述べることが認められることがあるが、弁明の機会は、処分の相手方のみに与えられる。


問11 行政手続法における聴聞と弁明に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、書面の提出によってするのが原則であるが、聴聞は、口頭かつ公開の審理によるのが原則である。

○:2.聴聞においては、処分の相手方以外の利害関係人にも意見を述べることが認められることがあるが、弁明の機会は、処分の相手方のみに与えられる。

☓:3.聴聞は、不利益処分をなす場合にのみ実施されるが、弁明の機会は、申請者の重大な利益に関わる許認可等を拒否する処分をなす場合にも与えられる。

☓:4.聴聞を経てなされた不利益処分については、行政不服審査法による異議申立てや審査請求をすることはできないが、弁明の機会を賦与したに過ぎない不利益処分については、こうした制限はない。

☓:5.聴聞の相手方については、聴聞の通知があったときから処分がなされるまでの間、関係書類の閲覧を求める権利が認められるが、弁明の機会を賦与される者には、こうした権利は認められない。

解説

1.誤り。
弁明の機会の付与は原則として書面審理主義であり(行政手続法第29条1項)、聴聞は原則として口頭審理主義であるが(行政手続法第20条)、聴聞は非公開が原則で行政庁が公開することを相当であると認めるときを除き公開しない(行政手続法第20条6項)。
2.正しい。
聴聞の場合、主宰者は、必要があると認めるときは、利害関係を有するものと認められる者に対し、当該聴聞に関する手続に参加することを求め、又は当該聴聞に関する手続に参加することを許可することができ(行政手続法第17条1項)、当事者又は参加人は聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、及び証拠書類等を提出し、並びに主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる(行政手続法第20条2項)。
これに対して弁明の機会の付与は、不利益処分の名あて人となるべき者のみに弁明の機会を与えることを念頭においており(行政手続法第30条)、行政手続法第17条を準用していない(行政手続法第31条参照)。
これは、弁明の機会の付与は軽微な不利益処分がその対象であるため(行政手続法第13条1項)、 審理の複雑化を避けて、迅速な手続をなすとともに行政庁の負担を軽減する趣旨である。
3.誤り。
聴聞と弁明の機会の付与は、いずれも不利益処分に対する事前手続きであり、原則的には、聴聞は許認可等の取消しや資格又は地位のはく奪といった比較的に重大な不利益処分に対応しており(行政手続法第13条1項1号)、それ以外の比較的軽微な不利益処分は、弁明の機会の付与が対応している(行政手続法第13条1項2号)。
この点、申請における許認可等を拒否する処分は、たとえ申請者の重大な利益に関わるものであっても、不利益処分にはあたらないため(行政手続法第2条4号ロ)、聴聞も弁明の機会の付与も不要である。
4.誤り。
聴聞を経てなされた不利益処分については異議申立てをすることはできないが、審査請求はできる(行政手続法第27条2項)。
聴聞手続きを経て不利益処分をする場合というのは、換言すると、口頭による意見陳述という慎重な手続きを経た上で不利益処分がされたということであり、その行政庁自身に異議を申立てしても、同じ結論が出て無駄骨に終わる可能性が高いため、異議申立てのみを制限しているものである。
なお、弁明の機会の付与においては、こうした制限がないという点は正しい。
5.誤り。
聴聞における関係書類の閲覧を求める権利の期間は、聴聞の通知があったときから「処分がなされるまでの間」ではなく「聴聞が終結されるまでの間」である(行政手続法第18条1項)。
なお、「弁明の機会を賦与される者には、こうした権利(関係書類の閲覧権)は認められない。」という点は、行政手続法第31条は18条を準用していないので正しい(理由については肢2参照)。


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