解答 行政書士試験 平成18年59問
一般知識
○:4.(ア)一義的 (イ)伝統 (ウ)偶発的 (エ)国際比較
○:4.(ア)一義的 (イ)伝統 (ウ)偶発的 (エ)国際比較
問59 次の文章の空欄[ア]~[エ]に入ることばの組合せとして、正しいものはどれか。
西欧が、近代社会の普遍型であるという考え方を、比較の方法の中に位置づけて、端的に表明した学者のなかに、イギリスの歴史家G・B・サンソムがいる。かれは近代化の過程において、ヨーロッパ諸国、とくにイギリスで起こったことと日本で起こったこととの、具体的事実の比較をおこなうことによって、日本に起こった事がらの中の、「何が『典型的』で、何が『特殊的』であるかを」明確にしようと提唱した。
……日本史の研究においても、西洋の学者は、多くの点で制約はありますけれどもその代りに有利な点もいくらかあるわけであります。西洋の学者は環境~~言ってみれば舞台と俳優についての知識が劣っている。研究上の便益も不完全なものであります。けれども、西洋の学者は一つの特典をもっております。すなわち、この学者の仕事は日本文明の現象を西洋の観客に向って説明することにある。そこで彼は、ことの性質からいって、比較方法を用いなければならない。ここに西洋の学者は或る種の[ア]な利点をもっている。すなわち彼はより多く客観的になることができるのであります。私は西洋の学者が必ずその客観性を獲得すると言うのではありません。それは彼自身の偏見をもつからであります。しかし少くとも、その偏見は日本の学者の偏見と同じものではない。というのは、西洋の学者は日本の学者たちの[イ]から自由であるからであります。いずれにしても、西洋の学者は否応なく比較方法を用いなければならない。なぜならば、典型的なものを特殊的なものから、一般的なものを特徴的に日本的なものから区別しうるのは比較方法ばかりだからであります。(サンソム)
ヨーロッパ諸国とくにイギリスで起こったことが、日本でもおなじように起こっていれば、それは「典型的」=普遍的であり、イギリスで起こったことが日本で起こらなかったり、イギリスで起こらないことが日本で起これば、それは「特殊的」=個別的である、といっている。普遍型は、イギリスをふくむヨーロッパ諸国によって代表される。それから逸脱するものがすべて、「特殊的」「個別的」、「[ウ]」とみなされる。[エ]とは、ヨーロッバ諸国で起こったことを普遍の照準枠として、その他の社会で起こったことと比べてみることなのである。
柳田の方法は、これとはまるで逆である。「我々の方は近い三百年五百年の間の、隔絶孤立の発達を考へる故に、始めから似て居る筈が無いと思ひ、たまたま争へない一致が見付かると、非常に驚歎して不審を晴さずには居られぬのである」。西洋の学問の普遍性への探求の中から、[エ]への志向は生まれてきたといってよい。これに対して、日本の学問は、外国の理論をそのまま採用するのでないかぎり、日本の社会や文化の個別性を力説するあまり、[エ]への枠組みを提供できるなどと、思い至らなかった。
(出典 鶴見和子「漂泊と定住と」より)
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.(ア)全体的 (イ)創造 (ウ)必然的 (エ)国際理解
☓:2.(ア)一義的 (イ)創造 (ウ)偶発的 (エ)国際貢献
☓:3(ア)二次的 (イ)伝統 (ウ)必然的 (エ)国際文化
○:4.(ア)一義的 (イ)伝統 (ウ)偶発的 (エ)国際比較
☓:5.(ア)二次的 (イ)伝統 (ウ)必然的 (エ)国際標準
解説
ア.「一義的」
第二段落の内容を簡潔に言うと、一般に日本史の研究においては西洋の学者は不利だが、有利な点もあり、それは客観的になることができる点にあるとしている。
また、アの後にある「すなわち」という接続詞は、「=」を意味する。
つまり、当該文章は「[ア]な利点」=「より多く客観的になることができる」となり、[ア]には、重要、主要、大きな、大切などの用語が入ればきれいに文章が繋がる。
そして、一義的には、「いちばん大切な意味をもっているさま」という意味がある。
したがって、「一義的」が適切である。
イ.「伝統」
イの前にある「というのは」という接続詞は、前の文を説明する場合に使われる。
そして、ここでは、「西洋の学者自身の偏見と日本の学者の偏見は同じでないこと」に対する説明がされている。
また、「偏見」とは、先入観の入った偏った判断の意味である。
つまり、イには、先入観によって偏った判断になりうる用語を当てはめることになる。
したがって、「伝統」が適切である。
ウ.「偶発的」
ウの前にある「特殊的」「個別的」と並ぶ言葉、更にその前にある「典型的」「普遍的」と対立する言葉であるから、「偶発的」が適切である。
エ.「国際比較」
一つ目のエの後の文では「比べてみることなのである。」となっているため、比較が適切である。
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