解答 行政書士試験 平成18年8問
行政法 行政総論
○:1.防火地域に関する建築基準法の規定は、民法の相隣規定に関する特別法として適用されるとするのが最高裁の判例である。
○:1.防火地域に関する建築基準法の規定は、民法の相隣規定に関する特別法として適用されるとするのが最高裁の判例である。
問8
公法と私法が交錯する領域に係る次の記述のうち、妥当なものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
○:1.防火地域に関する建築基準法の規定は、民法の相隣規定に関する特別法として適用されるとするのが最高裁の判例である。
☓:2.現実に開設されている私道を日常的に利用する利益は反射的利益であり、敷地所有者に対して通行妨害排除の民事訴訟を提起する利益とはなりえないとするのが最高裁の判例である。
☓:3.建築確認は、その土地について私法上の権原がある者により申請される必要があるから、権原なき者によって申請された場合には、そのことを理由として却下することができるというのが最高裁の判例である。
☓:4.公営住宅に世帯主として入居している者が死亡した場合、その相続人が低所得者であるときには、入居関係は相続させなければならないとするのが最高裁の判例である。
☓:5.海岸線の変動により、従来私人の所有であった土地が海面下に沈んだ場合には、私人の土地所有権は自動的に滅失するというのが最高裁の判例である。
解説
1.正しい。
「建築基準法65条は、防火地域又は準防火地域内にある外壁が耐火構造の建築物について、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる旨規定しているが、これは、同条所定の建築物に限り、その建築については民法234条一項の規定の適用が排除される旨を定めたものと解するのが相当である・・・中略・・・同条は、建物を建築するには、境界線から五〇センチメートル以上の距離を置くべきものとしている民法234条一項の特則を定めたものと解(する。)」(最判平成元年9月19日)。
2.誤り。
「現実に開設されている道路を通行することについて日常生活上不可欠の利益を有する者は、・・・中略・・・敷地所有者が右通行を受忍することによって通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情のない限り、敷地所有者に対して右妨害行為の排除及び将来の妨害行為の禁止を求める権利(人格権的権利)を有する」(最判平成9年12月18日)
3.誤り。
建築主事が行う建築確認は、一定の建築物を工事するにあたって、その計画が建築基準法令の規定等に適合するものであるかどうかを建築主事が判断し、それを確定する行為であるところ(建築基準法第6条1項)、判例は、建築確認の法的性格について「確認申請について行う確認処分自体は基本的に裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものと解する」(最判昭和60年7月16日)とし、また、下級審判例では、建築主事は、当該建築物の敷地について、その境界線の正否や使用権原の有無等私法上の法律関係を審査する権限はない(東京高判昭和54年9月27日)としていることから、建築確認の目的とはおよそ関係しない土地利用権原に関することを理由として、建築確認の申請を却下することはできないと解される。
したがって、当該理由によって「却下することができる」とした最高裁判例は存在しないし、判例・通説は「却下できない」と解しているため、誤りとなる。
4.誤り。
公営住宅法は、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で住宅を賃貸するとし、また、選考基準に従い、公正な方法で選考して、入居者を決定しなければならないとされており、このような公営住宅法の規定の趣旨にかんがみれば、入居者が死亡した場合には、その相続人が公営住宅を使用する権利を当然に承継すると解する余地はないとされる(最判平成2年10月18日)。
5.誤り。
「私有の陸地が自然現象により海没した場合についても、当該海没地の所有権が当然に消滅する旨の立法は現行法上存しないから、当該海没地は、人による支配利用が可能でありかつ他の海面と区別しての認識が可能である限り、所有権の客体たる土地としての性格を失わないものと解するのが相当である。」(最判昭和61年12月16日)
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