解答 行政書士試験 平成18年37問
商法 商行為
○:2.ア・エ
○:2.ア・エ
問37 商行為に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア、商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受け、申込みとともに受け取った物品がある場合において、その申込みを拒絶するときは、相当の期間内にその物品を相手方の費用により返還しなければならない。
イ、数人がその一人または全員のために商行為である行為によって債務を負担した場合は、その債務は各自が連帯してこれを負担する。
ウ、商人がその営業の範囲内において他人のために行為をした場合は、報酬に関する契約がなくとも、相当の報酬を請求することができる。
エ、当事者の一方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、債権の弁済を受けるまで、債権者が占有する債務者所有の物または有価証券を留置することができる。
オ、商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については、質権者に弁済として質物の所有権を取得させることを契約で定めることができる。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.ア・ウ
○:2.ア・エ
☓:3.イ・エ
☓:4.イ・オ
☓:5.ウ・オ
解説
ア.誤り。
商人がその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、その申込みとともに受け取った物品があるときは、その申込みを拒絶したときであっても、申込者の費用をもってその物品を保管しなければならない(商法第510条本文)。
したがって、相手方の費用をもって原則としてその物品を保管しなければならないが、返還する義務は無い。
イ.正しい。
数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担する(商法第511条1項)。
ウ.正しい。
商法第512条は「商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。」とし、民法の委任(648条1項)と異なり、特約無しで報酬の請求ができる。
なお、宅地建物取引業者の仲立は、売主のためにする意思を有してしなければ、同法は適用されないため、報酬は買主にしか請求できないとされている(最判昭和44年6月26日)。
エ.誤り。
商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができる(商法第521条本文)。
したがって、商事留置権が適用されるのは「当事者の一方のため」ではなく、「商人間においてその双方のため」に商行為となる行為である。
なお、商事留置権は、民法の留置権(民法第295条)と異なり、目的物と被担保債権の間に牽連性が要求されない。
オ.正しい。
商法では民法の流質契約の禁止(民法第349条)と異なり、流質契約を許容している(商法第515条)。
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