解答 行政書士試験 平成25年15問
行政法 行政不服審査法
○:2.処分権主義----私人からの不服申立てがなくとも、行政庁が職権で審理を開始することができること
○:2.処分権主義----私人からの不服申立てがなくとも、行政庁が職権で審理を開始することができること
問15
行政不服審査に関する原則の説明として、誤っているものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.自由選択主義---不作為について、異議申立てと直近上級行政庁に対する審査請求のいずれをするかは、原則として、当事者の自由な選択に委ねられていること
○:2.処分権主義----私人からの不服申立てがなくとも、行政庁が職権で審理を開始することができること
☓:3.審査請求中心主義----処分について、審査請求ができる場合には、法律に特別の定めがないかぎり、異議申立てを認めないとすること
☓:4.一般概括主義---適用除外規定に該当する処分を除き、原則として全ての処分について異議申立て又は審査請求が可能なこと
☓:5.書面審理主義---不服申立ての審理は、書面によることを原則としていること
解説
1.正しい。
行政不服審査法は、処分の不服申立てについては審査請求中心主義を採用しているが(肢3参照)、不作為の不服申立ては自由選択主義を採用しており、すなわち異議申立てと直近上級行政庁に対する審査請求のいずれをするかは、原則として、当事者の自由な選択に委ねられている(行政不服審査法第7条本文)。
これは、不作為に対する不服申立ては、専ら事務処理の促進を求めるものであって、不作為庁に直接申し立てる方が迅速かつ適切な処理が期待できることも多くありうるため、不服申立人がその選択をできるようにしたものである。
もっとも、不作為庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるときは、異議申立てに限定されている(行政不服審査法第7条ただし書)。
2.誤り。
処分権主義とは、争訟手続の開始、その範囲の特定及びその終了については、当事者の自律的な判断に委ねられるという原則(逆に言えば職権で審理が開始されたり、取下げに同意等を必要としたりしない)をいう。
元々は、民事訴訟の基本原則として用いられていた概念であるが、行政事件訴訟や行政不服申立てにも妥当し、不服申立ては不服申立人が原則として不服申立書を提出することで開始され(行政不服審査法第9条1項)、不服申立人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができる(行政不服審査法第39条)。
したがって、本肢は、処分権主義の説明としても誤っているし、そもそも行政不服審査法では、職権で不服申立ての審理を開始することを認めていないという点でも誤っている。
3.正しい。
行政不服審査法は、処分の不服申立てについては審査請求中心主義を採用しており、すなわち処分の不服申立ては、審査請求を原則とし(行政不服審査法第5条)、審査請求ができる場合には、法律に特別の定めがない限り、異議申立てをすることができない(行政不服審査法第6条ただし書)。
このような制度設計になっているのは、既に一定の判断を行った処分庁が自らの処分を審査するよりも、処分庁以外に審理・判断させた方が、公平な判断が期待できるからである。
4.正しい。
行政不服審査法は、一般概括主義を採用しており、すなわち原則として「処分・不作為」の全てが不服申立ての対象事項となり、例外的に不服申立ての対象とならない事項を規定している。
なお、行政不服審査法の前身である訴願法は、列記主義を採用しており、すなわち不服申立ての対象事項を列記していた。
5.正しい。
行政不服審査法は、書面審理主義を採用しており、すなわち審査請求の審理は、書面によることを原則として、口頭での審理は例外的な位置づけになっている(行政不服審査法第25条1項)。
なお、ここにいう「書面」には、審査請求書(同法第15条)の他に、弁明書(同法第22条)、反論書(同法第23条)、証拠書類・証拠物(同法第26条)などが含まれる。
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