解答 行政書士試験 平成25年43問
行政法
問43 次の文章は、インターネットを通じて郵便等の方法で医薬品を販売すること(以下「インターネット販売」と略する)を禁止することの是非が争われた判決の一節である(一部を省略してある)。空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
本件地位確認の訴えは、[ア:公法上の当事者訴訟]のうちの公法上の法律関係に関する確認の訴えと解することができるところ、原告らは、改正省令の施行前は、一般販売業の許可を受けた者として、郵便等販売の方法の一態様としてのインターネット販売により一般用医薬品の販売を行うことができ、現にこれを行っていたが、改正省令の施行後は、本件各規定の適用を受ける結果として、第一類・第二類医薬品についてはこれを行うことができなくなったものであり、この規制は[イ:営業の自由]に係る事業者の権利の制限であって、その権利の性質等にかんがみると、原告らが、本件各規定にかかわらず、第一類・第二類医薬品につき郵便等販売の方法による販売をすることができる地位の確認を求める訴えについては、……本件改正規定の[ウ:行政処分]性が認められない以上、本件規制をめぐる法的な紛争の解決のために有効かつ適切な手段として、[エ:確認の利益]を肯定すべきであり、また、単に抽象的・一般的な省令の適法性・憲法適合性の確認を求めるのではなく、省令の個別的な適用対象とされる原告らの具体的な法的地位の確認を求めるものである以上、この訴えの法律上の争訟性についてもこれを肯定することができると解するのが相当である(なお、本件改正規定の適法性・憲法適合性を争うためには、本件各規定に違反する態様での事業活動を行い、業務停止処分や許可取消処分を受けた上で、それらの[ウ.行政処分]の抗告訴訟において上記適法性・憲法適合性を争点とすることによっても可能であるが、そのような方法は[イ:営業の自由]に係る事業者の法的利益の救済手続の在り方として迂遠であるといわざるを得ず、本件改正規定の適法性・憲法適合性につき、上記のような[ウ:行政処分]を経なければ裁判上争うことができないとするのは相当ではないと解される。)。 したがって、本件地位確認の訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして、[エ:確認の利益]が肯定され、法律上の争訟性も肯定されるというべきであり、本件地位確認の訴えは適法な訴えであるということができる。」
1、訓令 ,2、表現の自由 ,3、民事訴訟 ,4、重大かつ明白な瑕疵 ,5、精神的自由 ,6、委任命令 ,7、公法上の当事者訴訟 ,8、行政権の不作為 ,9、裁量の逸脱又は濫用 ,10、原告適格 ,11、 抗告訴訟 ,12、狭義の訴えの利益 ,13、補充性 ,14、行政指導 ,15、営業の自由 ,16、国家賠償訴訟 ,17、既得権 ,18、確認の利益 ,19、通信の秘密 ,20、行政処分
解説
本裁判例は、医薬品のネット販売を禁じていた厚生労働省令の規定が「薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効」と判断した最高裁判例(最判平成25年1月11日)の1審判決である。
本判決では、結果的に、確認の利益があるとして、公法上の当事者訴訟(私法上の当事者訴訟である民事訴訟と区分けする意味で、行訴法の当事者訴訟をこう呼ぶ)の公法上の法律関係に関する確認の訴えが認められているが、原告としては、当該省令における規定の改正が行政処分であるとして、無効等確認訴訟又は処分の取消訴訟が併合提起できる旨の主張をしていた。
しかし、この点は、「省令を改正する行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたらない」というおなじみの理由で斥けられている。
また、最高裁が最終的に示した「委任の範囲を逸脱した」という争点以外にも1審で大きく争われたのは、職業選択又は営業の自由に反するのではないか、という点である。
この点については、消極的・警察的な目的規制な規制と認定した上で、目的二分論によって厳しい基準(厳格な合理性の基準)を用いたが、代替的な規制手段によっては規制目的を達成できないとして原告の主張は斥けられている。
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